解説

遺言書の必要性

相続が起きると、相続人は亡くなられた人(被相続人)の遺産を相続することになりますが、遺産を分割する手順の概要は以下の通りです。
 遺言書がある場合には、原則、遺言書に従う 
 遺言書がない場合には、相続人全員による遺産分割協議に基づく
 遺言書がなく相続人間の協議が進まない場合には、家庭裁判所の調停や審判に委ねる

遺言書がない場合には、遺産分割協議において、分割について相続人が全員で合意しなくてはなりません。しかし、次の様に、相続人には合意するための作業負担が大きい場合があります。

《「相続人同士の関係」による例》
   配偶者が既に亡くなっていて、子どもたちが主張しがちな場合
   子どもがいない夫婦で、相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹になる場合
   再婚した夫婦で、先の配偶者の子どもと相続時の配偶者が相続人になる場合  など
《「遺産の内容」による例》
   オーナー会社や農業・不動産賃貸業の経営のため株式や不動産を分散させたくない場合
   遺産が居住用不動産に片寄っている場合
   遺産である敷地の上に相続人の家がある場合  など
《「生前の被相続人と相続人との関係」による例》
   被相続人が元気なうちに、被相続人から贈与を受けていた相続人がいる場合
   被相続人の財産の維持または増加に特別に寄与した相続人がいる場合  など

また、生前の被相続人に、相続に対し特別な思いがある場合があります。
   お世話になった人に財産をあげたい
   孫に財産を遺したい  など

以上のような場合でも、被相続人が遺言書を残していれば、原則、遺言書に基づいて分割することになります。
遺言書によって、相続人の負担は軽減されますし、被相続人の思いが実現されることになります。

遺言の種類

民法には、
・普通の方式による遺言として3種類(自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言)
・特別の方式による遺言として4種類(死亡危急者遺言、船舶遭難者遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言)の方式が定められています。
一般的に多く使われる方式は公正証書遺言と自筆証書遺言ですので、この2種類の概要、長所、短所をご紹介します。

  公正証書遺言 自筆証書遺言
概要
  • 公証役場で2人以上の立会人(証人)のもとに、遺言の内容を公証人に口述し、公証人が遺言書を作成します。
  • 全文と日付および氏名を自著し、押印します。
  • 遺言者の死亡後、家庭裁判所の検認
    (※)手続きが必要です。
長所
  • 内容が明確で、証拠力が高く安全確実で、無効になる恐れがほとんどありません。
  • 偽造・紛失の心配がありません。
  • いつでも、どこでも作成できます。
  • 誰にも知られずに作成できます。
  • 作成時の費用がほとんどかかりません。
短所
  • 立会人(証人)が必要です。
  • 費用がかかります。
  • 形式の不備や、不明確な内容になりがちで、後日トラブルが起きる可能性があります。
  • 偽造・隠匿などの心配があります。

※検認とは、遺言書の保管者等が、証拠保全のための手続きを家庭裁判所に申し立てることです。

遺言作成の注意点(遺留分、遺言執行者、書き換え)

  • 遺留分

    遺言者は、原則として遺産の処分を自由にすることができます。
    ただし、民法では、一定の相続人は、相続に際して遺産の一定割合を取得することが保障されています。この遺産の一定割合を遺留分といいます。
    遺留分を侵害された相続人は、侵害した他の相続人などに対し、その侵害された部分を請求(減殺請求)できます。

    遺留分の権利者は、
     配偶者
     直系卑属(被相続人の子ども、孫など)
     直系尊属(被相続人の父母、祖父母など)です。
    被相続人の兄弟姉妹及びその代襲相続人は法定相続人になっても遺留分の権利者ではないことに注意が必要です。
    また、遺留分の割合は下図の通りです。

    遺留分割合の例
  • 遺言執行者

    民法では、遺言者の意思を確実に実現するために、遺言の執行(遺言内容の実現)を公平な第三者に委嘱することが認められています。これが遺言執行者の制度です。
    遺言書で遺言執行者を指定すると、その遺言執行者は遺言の内容を実現するための一切の行為をする権利と義務を有するとされており、すみやかに遺言の内容を実現することができます。

  • 書き換え

    遺言書は何回でも書き換えることができます。
    財産や家族に変動が起きた場合などでは、遺言書の内容と相違していると遺言者の意思が実現できなくなることもありますので、状況に応じて書き換えることが重要です。

    遺言者は、

    1. (1) 遺留分を侵さないよう配慮した遺言の作成
    2. (2) 遺言書で遺言執行者の指定
    3. (3) 状況に応じての書き換え

    などを行うことで、確実に意思を実現することができます。

遺言信託とは

「遺言信託」は、遺言書の作成や保管中の遺言書の書き換えなど、遺言者の意思を確実に実現するための様々なお手伝いをする商品です。相続が起きた後には、相続手続きなどの相続人の負担を軽減することができます。

遺言信託[遺心伝心]

本コンテンツの内容について

平成29年4月1日現在の法令・税制等に基づいて作成しております。
法令・税制は今後変更になる可能性がありますのでご注意ください。
詳細および具体的な取扱いについては弁護士、税理士などの専門家にご確認ください。

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