印刷はこちら

スチュワードシップ活動の概況

年間を通じてスチュワードシップ活動の実効性向上を目指し、「アクティブ運用」「パッシブ運用」「議決権行使」の特性を踏まえた施策を行いました。また、有識者会議の意見書の内容を踏まえ、スチュワードシップ体制の整備を進めました。

エンゲージメント会議

〔スチュワードシップ体制の整備〕

スチュワードシップ体制の整備

※弊社の日本版スチュワードシップ・コードの受入れ方針については、弊社ホームページ『「日本版スチュワードシップ・コード」の受入れ』をご参照下さい。

スチュワードシップ活動の実効性向上へ向けた取り組み

【アクティブ運用】
アクティブ運用においては、アクティブリターン獲得を目的とし選定したエンゲージメント対象企業について、各企業の課題認識と着目点を設定し、以下記載の4つの視点(財務戦略、中長期的な事業戦略、コーポレートガバナンス、情報開示姿勢)を基本とした対話を行います。対話後、企業の変化の状況を段階的に把握しています。

【アクティブリターン向上のための対話の視点(イメージ図)】

アクティブリターン向上のための対話の視点(イメージ図)

【パッシブ運用】
パッシブ運用においては、対話の重要性を踏まえ、アナリスト・ファンドマネージャーが、アクティブ運用の調査対象ユニバースに限らず、市場への影響等を勘案して選定した企業との対話を実施しています。対話においては、アクティブ運用と同様に、4つの視点(財務戦略、中長期的な事業戦略、コーポレートガバナンス、情報開示姿勢)を基本とした対話を行います。対話後、企業の変化の状況を段階的に把握しています。

【アナリスト・ファンドマネージャーのエンゲージメント対象企業(イメージ図)】

アナリスト・ファンドマネージャーのエンゲージメント対象企業(イメージ図)

【議決権行使】
議決権行使の考え方と、議決権行使結果について、詳細な開示を行いました。これは、議決権行使に伴う対話の実効性向上と利益相反管理の強化を目的としたものです。

議決権行使

※詳細については、弊社ホームページ「議決権行使の考え方」「議決権行使の状況」をご参照下さい。

対話の事例

アクティブリターンおよびインデックスリターンの拡大へ向けて、4つの対話の視点を切り口に、投資先企業と、目的をもった対話を行いました。

【中長期的な事業戦略について】

○成長戦略の実行促進

成長戦略の実行促進

○収益性改善に向けた取り組み

収益性改善に向けた取り組み

【財務戦略について】

○政策保有株式の保有割合

政策保有株式の保有割合

○資本効率の改善について

資本効率の改善

【コーポレートガバナンスについて】

○社外役員の多様化

社外役員の多様化

【情報開示姿勢について】

○非財務情報の積極的な開示

非財務情報の積極的な開示

スチュワードシップ活動の振返り

【目的を持った対話の実施状況について】

 弊社は、投資先企業との企業価値および資本効率を高める事を目的とした対話を行っています。アクティブ運用・パッシブ運用ともに、4つの視点(中長期的な事業戦略、財務戦略、コーポレートガバナンス、情報開示姿勢)を基本としつつ企業の状況に応じた対話を行い、投資先企業と認識の共有を図るとともに、課題の改善に取組んでいます。(※4つの視点の主な対話項目は、弊社ホームページ『「日本版スチュワードシップ・コード」の受入れ』をご参照下さい。)
 スチュワードシップ活動の振返りにあたり、過去1年間の対話内容を精査し、対話の実効性について自己評価を行いました。

対話の視点とリターン向上の効果

アクティブ・パッシブ別対話テーマ比率(平成28年7月〜平成29年6月)

アクティブ・パッシブ別対話テーマ比率(平成28年7月〜平成29年6月)

【自己評価】

アクティブ運用の投資対象企業については、投資リターン獲得を目的とした対話を実施しています。多くの企業でROEの引上げに加えて資本コスト引下げも課題となっており、更に「③コーポレートガバナンス」と「④情報開示姿勢」についても重要な対話テーマです。

パッシブ運用の投資対象企業については、対話を通じた企業価値向上によるインデックスリターンの引上げを目指しています。多くの企業で「ROEの引上げ」が課題となっており、「①財務戦略」と「②中長期戦略」を中心に対話を実施しています。

アクティブ運用・パッシブ運用ともに、この4つの視点を基本に、企業の状況に応じた対話を実施することで、目的を持った対話が実現できるものと評価しています。

【エンゲージメント対象企業の状況把握】

 エンゲージメント対象企業について、各企業の課題認識/着目点に沿って対話後の企業の変化の状況を段階的に把握しています。

 状況把握は、「弊社による課題認識」⇒「企業との課題共有」⇒「解決に向けた行動」⇒「課題解決」の各段階でステージ判定を行っています。

 エンゲージメント対象企業について、平成28年3月末から平成29年6月末までの約1年間で、ステージ判定の状況を比較したところ、課題解決に向けた進捗が確認できました。

状況把握のイメージ

〔投資先企業A社の対話による変化〕

投資先企業A社の対話による変化

【自己評価】

  • 平成28年3月末と比較し、「課題は共有するも企業の行動はない」が減少し「課題共有後、企業が行動を開始」した事例が増加しました。企業の状況を体系的に把握しつつ、継続して目的を持った対話を行った結果、多くの企業で企業価値向上に向けた変化が見られており対話の成果があったと評価しています。
  • 一方、弊社と未だ課題共有が出来ない企業も複数存在しており、状況把握の向上及び投資先企業への働きかけを継続する必要があると考えます。

【議決権行使における対話の成果】

  • 年間通じた対話により、望ましいコーポレートガバナンスの在り方の認識を企業と共有しました。
  • 総会議案への反映に繋がる実効性の高い対話を行うべく株主総会直前ではなく、早期の対話による認識の共有を図りました。特に2月から3月にかけて行使基準についての対話を積極的に行い、弊社の方針を伝えました。
  • 対話の結果、対話先企業において議案への反映およびコーポレートガバナンスの改善が確認できました。

議決権専門部署と企業との対話(コーポレートガバナンスに関する課題の共有)

議決権専門部署と企業との対話(コーポレートガバナンスに関する課題の共有)

投資先企業の変化

投資先企業の変化

【自己評価】

  • 買収防衛策について、早い段階で対話を通じて行使基準の厳格化の方向性を伝えてきたことが、買収防衛策の廃止の増加に繋がったものと評価しています。その他、年間を通じた対話により、ガバナンスの改善に繋がっていると考えます。

スチュワードシップ体制の整備

【スチュワードシップ委員会の設立】
受託財産運用における議決権行使やエンゲージメント活動および投資行動が、投資家の利益最大化のために十分かつ正当であることを検証する機関として、スチュワードシップ委員会を設立しました。

  • 構成 委員長:独立社外取締役、委員:社外有識者、コンプライアンス担当常務役員
  • 審議内容 議決権行使やエンゲージメントおよび投資行動を対象として、次の事項について調査審議。
    • 議決権行使等に係る各方針やルールの適正性
    • 各方針およびルールに基づいた議決権行使等に係る各取り組み状況
  • 開催時期 年2回開催を基本とし、必要に応じて随時開催
  • 事務局 総務部、コンプライアンス統括部

スチュワードシップ委員会の設立

【利益相反管理の強化】
議決権行使及び投資判断については、他部門からの影響を遮断するため、受託財産部門運用部署内で完結することで利益相反を回避しています。例えば、議決権の行使判断は、受託財産部門運用部署内に設けた「議決権行使会議」において審議し、担当常務役員が最終決定を行う仕組みとしています。このような利益相反回避の対応の実効性を更に高め、他部門から受託財産部門運用部署への影響を遮断するために以下3点の施策を導入しています。

  • ①人事異動制限
    法人向け営業部署からの影響が受託財産部門運用部署に対して及ぶリスクを遮断するため、法人顧客と直接的な接点を持つ営業部署に過去5年以内に在籍していた者が受託財産部門運用部署に異動することを禁止。
  • ②影響力・情報遮断のルール明確化
    受託財産部門運用部署の所属員と運用業務に直接関係のないその他の部署の所属員との会議や打ち合わせを禁じるなど、両部署の接触を原則禁止。
  • ③資産運用プロセスのモニタリング強化
    議決権行使がガイドライン通り行使されているか等、資産運用がプロセス通り実施されているか受託財産部門内で確認した後、部門外のコンプライアンス部署で法人取引状況を背景とした影響の有無を確認。

その他の活動

【投資先企業向けレターの掲載】
弊社経営陣は、今後ともスチュワードシップ活動の実行に重要な役割・責務を担っていることを認識し、これらに関する課題に対する取組みを推進しております。
今般、日本版スチュワードシップ・コード(改訂版)の対応方針の更新に併せ、弊社受託財産部門のアセットマネジメント事業長による、投資先企業へのメッセージをホームページに掲載いたしました。

〔ホームページ掲載イメージ〕

ホームページ掲載イメージ

※詳細については、弊社ホームページ「投資先企業の皆様へ 弊社からのメッセージ」をご参照下さい。

【対話の多様化】
○社外取締役との対話
対話においては、該当企業について客観的に判断できる立場にある社外取締役との対話も有益であると考え、社外取締役とも対話を行っています。

○企業要請による役員クラス等を対象とした勉強会を兼ねた対話
従来より経営層と対話を行っている企業から、機関投資家から見た課題を社内で共有したいとの要請により、役員クラス等を対象とした勉強会を兼ねた対話についても対応しています。

【情報発信】
企業との直接の対話のみならず、スチュワードシップ・コードに関する講演(※1)や、弊社作成の情報誌(※2)を通じた企業への情報発信も重要な施策だと考え、これらの活動にも積極的に取り組んでいます。
ESG情報の開示促進を目的として、環境省「環境情報開示基盤整備事業」において、非財務情報の活用方法について講演を行いました。また、ワーキンググループ委員として、機関投資家の立場で意見表明をしています。

  1. (※1)日本IR協議会 IRカンファレンス2016『企業と投資家の「対話」の進展と新たなコミュニケーションの可能性について 』
  2. (※2)『資産運用情報』を各月刊行、弊社ホームページにも掲載
    「日本版スチュワードシップ・コードについて」2014年12月 No.31
    「社外取締役の導入と企業価値」2015年2月 No.33
    「投資指標としてのROE」2015年3月 No.34
    「資本コストと企業価値」2015年6月 No.37
    「グローバルなESG投資の潮流と日本の展望」2016年1月 No.44
    「中長期的な企業価値拡大へ向けた施策〜ガバナンスと情報開示の観点から〜」2016年9月 No.52

自己評価の総括

取り組みと自己評価

スチュワードシップ委員会の報告

(2017年8月改定)