用語解説コラム日本の退職給付会計
1.退職給付会計設定の背景わが国で退職給付会計が設定されたのは、いくつかの理由がある。一つは資本市場の国際化を映して会計基準の国際的調和が求められ、様々な基準について改正が行われたことである。会計ビッグ・バンと呼ばれる一連の動きの中で退職一時金、年金などの退職給付に関しても米国の年金会計基準(SFAS87)や国際会計基準(IAS19)と基本的に同じ概念に基づく退職給付会計が導入された。 2.退職給付会計と年金財政の関係退職給付会計では、企業が年金制度へ拠出している掛金とは別に退職給付費用を算出する。同じ年金制度について、年金財政と企業会計では異なった方法で債務を算出し、掛金及び費用を算出していることになる。このように異なった方法で行うのは両者の目的が異なるからである。年金財政は掛金の算出を目的としているが、許容される範囲内で母体企業の掛金負担能力を考慮して算出することができる。例えば予定利率や過去勤務債務(年金財政)の償却等の違いで負担する掛金額は異なってくる。これに対し、企業会計では母体企業の負担すべき費用や支払債務が客観的に算出されることが必要となる。つまり、企業会計では母体企業が負担すべき額に対して負担能力があるかどうかを判定することを目的とするため、負担能力を勘案して母体企業自らが決定する方法は採用しないという立場であると考えられる。 3.退職給付会計の概要退職給付会計における費用の算出方法と年金財政における掛金の算出方法は基本的な仕組みは変わらない。掛金の算出においては、給付額=掛金+運用収益を満たすような掛金が算出される。ただし、各期への割り当ては、掛金が平準的になるように行われる。これに対して会計上の退職給付費用は、退職給付費用=給付額−運用収益で求められる。この式で当期の退職給付費用を求めるには、当期の退職給付費用=当期増加した退職給付額−当期の運用収益ということになる。当期増加した退職給付額は、「退職給付債務」の額を元に計算する(退職給付費用の詳細は(2)を参照)。
4.海外における年金会計基準見直しの動き最近、海外において退職給付会計を見直す動きが活発化している。具体的には、米国の財務会計基準審議会(FASB)及び国際会計基準委員会(IASB)の動きである。両者は会計基準統一を進める中で退職給付会計に関しても統一歩調で見直しを推進している。 |
