ポイント制退職金

  1. はじめに
  2. 給付設計
  3. 導入時の留意点

(参考)ポイント制以外の退職給付制度

1.はじめに

これまで我が国で一般的に実施されてきた退職金制度は最終給与比例方式(退職時給与×勤続年数に応じた支給率)であった。しかし、給与や勤続年数の増加により次第に退職金コストが増大する仕組みであり、会社貢献度の適正な反映という点でも不十分であるとの指摘もなされるようになった。ポイント制退職金はこれらの問題点を解決する一つの方策として導入された。
ポイント制退職金は、(ア)給与や勤続年数の増加により自動的に退職金コストが増大することを回避できる、(イ)在職中における職務・職能等級の累積ポイント(会社貢献度)を反映できる、(ウ)中途採用者に不利な処遇とならない、(エ)従業員が退職金の状況を明確に把握できる、などの特徴がある。

2.給付設計

ポイント制退職金は、勤続年数、職能・職務等級、役職などの評価要素をポイント化し、そのポイントを一定期間毎に従業員に付与する。退職時にはそれまでに付与されたポイントの累積に1ポイント当たりの単価を乗じて退職金を算定する。勤続ポイントと職能ポイントの組合せや職能ポイントのみとするケースが多い。

給付額=ポイント累計額×ポイント単価×退職事由別支給係数

ポイント制退職金の仕組み

<勤続ポイント>

従業員の勤続年数に基づき付与されるポイントをいう。勤続ポイントは、昇格スピードの遅い従業員にも一定水準の給付を保証するために設けられる場合が多い。勤続ポイントの付与は、全勤続年数について同一ポイントとする方法と勤続年数の区分に応じて異なるポイントを付与する方法がある。勤続ポイントの割合が大きければ年功的な給付設計となる傾向がある。

<職能ポイント>

従業員の職能資格に基づき付与されるポイントをいう。ポイント格差が一定の範囲内にあることや適正な年金数理計算が可能であることなどを条件に、厚生年金基金の加算部分および確定給付企業年金で運営可能である。職能ポイントの割合が大きければ成果主義的な給付設計となる傾向がある。

ポイント制の認可基準

  • 厚生年金基金の加算部分の場合
    (ア)昇格の規程が明確に定められていること、(イ)同一加算適用加入員期間を有する加入員について、最大ポイントの最小ポイントに対する割合に過大な格差がないこと、(ウ)恣意的なポイントは存在せず数理計算が可能であること(「厚生年金基金の設立要件について」による厚生年金基金設立認可基準取扱要領)。
  • 確定給付企業年金の場合
    (ア)昇格の規定が労働協約等において明確に定められていること、(イ)同一の加入者期間を有する加入者について最大ポイントの最小ポイントに対する割合に過大な格差がないこと、(ウ)ポイントは恣意的に決められるものでなく数理計算が可能であること(2002年3月29日付厚生労働省年金局長通達「確定給付企業年金制度について」)。

3.導入時の留意点

ポイント制退職金を導入する場合、(ア)職能・職務等級制度等の資格制度や職務ランク制が整備されていることが必要となる、(イ)職能資格制度等の運営を年功的に行うと制度の目的が失われる、(ウ)給与との関連性がなくなるため、ポイント単価の引き上げ等による給付水準の見直しの必要性有無の検証を定期的に行う必要がある、などの点に留意が必要である。
最近では、ボーナス査定や人事考課といった評価をポイント要素に加えた制度も散見されるようになってきている。

(参考)ポイント制以外の退職給付制度

<給与比例制>

年金制度において、給付額または掛金額を給与に対する一定割合で定める方式をいう。給付額の決定方法は、(ア)最終給与比例方式:脱退時の最終給与を基準とする方式、(イ)全期間平均給与比例方式:制度に加入していた全期間の平均給与を基準とする方式、(ウ)最終数年間平均給与比例方式:制度から脱退する直前の数年間の平均給与を基準とする方式、がある。一般に、給与比例制の掛金額は加入者の給与に掛金率を乗じて算定される。

<最終給与比例制>

年金制度において、給付額を脱退(退職)時の最終給与の一定割合で定める方式をいう。ベースアップが年金算定の基礎給に反映される制度においては、加入期間中、年金の実質価値は自動的に維持されることになる。

<定額制>

年金制度において、給付額または掛金額を給与に関係なく定額で定める方式をいう。給付額の決定方法は、(ア)勤続期間あるいは加入期間の長短に関係なく一定額とする方式、(イ)勤続期間あるいは加入期間に応じる期間別定額とする方式、がある。一般に、定額制の掛金額は加入者1人当たり一定額で算定される。