「経営の健全化のための計画」

1.金額・条件等

(1)根拠

ア.法律上の根拠
金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律第7条

イ.法律上の要件の充足状況

(第7条第1項第1号要件)
 一昨年来我が国の金融システムに対する信頼が揺らぎ、外貨調達においていわゆるジャパン・プレミアムが発生し、さらにインターバンク市場での資金調達が円滑に行えないなど、弊社における外貨資金繰りは厳しい状況となっております。
  弊社は海外銀行業務からの撤退方針を打ち出しており、漸次外貨資産の圧縮を進めておりますが、現状においては一時的に国内円資金を投入し、スワップにより外貨に転換して必要な外貨をまかなうことを余儀なくされております。
 これに伴い、国内においては市場性資金をターム物で厚めに調達するとともに、大口定期、NCDによる顧客性調達を厚めにし、安定的に資金を確保するべく運営しておりますが、この結果国内の資金調達コストは徐々に上昇しております。
 このような状況下、優先株式の発行を通じて資本の増強を図ることにより、円滑な資金調達が可能になると考えております。
(同第2号要件)
  平成11年3月期については予防的な引当も含め不良債権の積極的な処理を行なうため、1,291億円の当期損失を計上する見込みですが、来期以降は不良債権処理損失が減少すること、後述の業務再構築の効果により収益は増加基調で推移すること等から、弊社は、債務を完済することが可能であると考えております。
 また、弊社の発行する優先株式は普通株式に転換することにより、株式市場において十分に処分が可能であり、「処分が著しく困難であると認められる場合」には該当しないと考えております。
(同第3号要件)
 後述の通り、本号に規定されているそれぞれの方策を着実に実行してまいります。
(同第4号要件)
 弊社は平成10年9月末で自己資本比率10.86%となっており、「特に著しい過少資本の状況にある旨の区分」には該当いたしません。
(同第5号 ロの要件)
 弊社は円滑な資金の供給は金融機関の公共的使命と認識し、従来より優良な取引先への安定的な資金供給に努めてまいりましたが、上記第7条第1項第1号要件で述べたような状況が継続する場合には、金融仲介機能を十分に発揮していくことが困難になる状況も予想されます。協定銀行により、弊社発行の優先株式を引き受けていただくことは、弊社の経営基盤の強化、ひいては資金調達力の増強に繋がり、弊社が金融仲介機能を一層発揮していくために不可欠であると考えております。

(2)発行金額、発行条件、商品性

 発行条件に関しましては、「個別金融機関において、普通株式の配当利回りは、優先株式の配当率以下とすることを原則とする」とした金融再生委員会の考え方を踏まえて申請します。

・優先株式の概要

株式の種類 東洋信託銀行株式会社第二回第一種優先株式
(以下「優先株式」という)

発行数 2億株

発行価額 1株につき1,000円

発行価額の総額 2,000億円

発行価額中資本に
組み入れない額
1株につき500円

発行方法 株式会社整理回収銀行に直接全額割当てる方法による

払込期日 平成11年3月30日

配当起算日 平成11年3月31日

優先配当金
(1) 優先配当金
 毎年3月31日現在の優先株主に対し、普通株主に先立ち優先株式1株につき11円50銭の優先配当金を支払う。但し、当該3月31日に終了する営業年度において優先中間配当金を支払ったときは、その額を控除した額とする。また、平成11年3月31日を基準日として支払う優先配当金の額は、優先株式1株につき4銭とする。

(2) 非累積条項
 ある営業年度において、優先株主に対し支払う利益配当金の額が上記(1)優先配当金の額に達しないときは、その不足額は翌営業年度以降に累積しない。

(3) 非参加条項
 優先株主に対し優先配当金を超えて配当は行わない。

(4) 優先中間配当金
 中間配当を行うときは、毎年9月30日現在の優先株主に対し、普通株式に先立ち優先株式1株につき5円75銭の優先中間配当を支払う。

10 残余財産の分配
 当社は、残余財産を分配するときは、優先株主に対し普通株主に先立ち優先株式1株につき1,000円を支払う。優先株主に対しては、上記1,000円のほか残余財産の分配はしない。

11 消却
 当社はいつでも買入消却することができる。ただし、金融監督庁の事前の承認を条件とする。

12 議決権
 優先株主は、法令に別段の定めがある場合を除くほか、株主総会において議決権を有しない。

13 新株引受権等
 当社は、法令に別段の定めがある場合を除くほか、優先株式について株式の併合又は分割はしない。
 当社は、優先株主には新株の引受権又は転換社債若しくは新株引受権付社債の引受権を付与しない。

14 普通株式への転換
(1)転換を請求し得べき期間
 平成11年7月1日から平成21年7月31日までとする。但し、当社の株主総会において権利を行使すべき株主を確定するため一定の日(以下「基準日」という。)を定めたときは、その翌日から当該基準日の対象となる株主総会終結の日までの期間を除く。

(2) 転換条件
 優先株式は下記の転換条件により当社の額面普通株式(以下「普通株式」という。)に転換することができる。

イ. 当初転換価額
 当初転換価額は324円とする。

ロ. 転換価額の修正
 転換価額は、平成11年6月15日、以降平成20年6月15日まで毎年6月15日(但し、当該日が東京証券取引所において、当社普通株式の普通取引の最終売買価格のある日(以下本項において「取引日」という。)でない場合にはその直前の取引日。以下それぞれ「決定日」という。)(当日も含む。)に終了する、30取引日(以下「修正計算期間」という。)の東京証券取引所における当社普通株式の毎日の出来高加重平均株価の単純平均値が当該決定日現在有効な転換価額を1円以上下まわる場合には、当該決定日直後の6月30日(以下「効力発生日」という)において、上記計算の結果算出された金額に修正されるものとする。
 ただし、それぞれの算出金額が227円(ただし、下記14(2)ハ.の調整を受ける。) (以下「下限転換価額」という。)を下回る場合は、修正後転換価額を下限転換価額とする。
 上記において、当社普通株式の出来高加重平均株価の単純平均値とは、修正計算期間の各取引日に関し、ブルームバーグ・エル・ピー(Bloomberg L.P.)が当該日の午前10時から11時の間(ロンドン時間)において提示する「8407ジェー・ティー・エクイティー・エーキューアール」(8407 JT Equity AQR)の画面(又はそれに代わる画面若しくはサービス。以下「参照画面」という。)で発表する東京証券取引所における当社普通株式の売買価格の出来高加重平均値(ただし、上記取引日において当該参照画面が提示されない場合には、当該取引日の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の最終売買価格。いずれの場合にも修正計算期間において発生する下記14(2)ハ.の調整に準じて調整される。)の算術平均値(1円未満は切り上げる。)で当社が算出したものをいう。

ハ. 転換価額の調整
 転換価額(下限転換価額を含む。)は、当社が優先株式を発行後、時価を下回る払込金額での新たな普通株式の発行、株式分割その他一定の場合には、次の計算により調整される。
転換価額
 ただし、上記の算式により計算される転換価額が普通株式の額面金額の2倍の額を下回る場合には、当該額面金額の2倍の額をもって調整後転換価額とする。

ニ. 転換により発行すべき普通株式数
 優先株式の転換により発行すべき普通株式数は、つぎのとおりとする。
普通株式数
 転換により発行すべき株式数の算出に当って1株未満の端数が生じたときは、これを切り捨てる。

(3) 転換により発行する普通株式の内容
 当社額面普通株式(現在1株の額面金額50円)

15 普通株式への一斉転換条項
 転換を請求し得べき期間中に転換請求のなかった優先株式は、同期間の末日の翌日(以下「一斉転換日」という)をもって、1,000円を一斉転換日に先立つ45取引日目に始まる30取引日の東京証券取引所における当社の普通株式の普通取引の毎日の終値(気配表示を含む)の平均値(終値のない日数を除く)で除して得られる数の普通株式となる。平均値の計算は円位未満小数第2位まで算出し、その小数第2位を四捨五入する。ただし、当該平均値が226円80銭を下回るときは、1,000円を226円80銭で除して得られる数の普通株式となる。

16 上記各条項については、各種の法令に基づく届出、許認可の効力発生を条件とする。

(3)金額の算定根拠および当該自己資本の活用方針

金額の算定根拠
 平成10年度下期における、積極的な不良債権処理および予防的引当の増加による自己資本の減少を、三和銀行との資本提携および本件優先株式の発行(公的資金の導入)により補強し、より健全な財務体質とすることを目指してまいります。
 自己資本比率については、不良債権処理等によるTier Iの減少があるものの、三和銀行との資本提携による調達1,000億円および公的資金2,000億円(Tier I:2,000億円)の導入により、平成10年9月末の10.86%から平成11年3月末には14.32%まで上昇し、強固な財務基盤が築かれることになります。

 また、経営の効率化と利益の社外流出の抑制に努める結果、平成18年3月期までに剰余金が本件申請額2,000億円を上回り、利益の内部留保による本件優先株式の消却・償還も可能となる見込みであります。

自己資本の活用方針
 不良債権処理等により減少する自己資本を補強することに加え、健全な財務体質のもと、信用リスク管理体制を更に充実させた上で、優良な中堅・中小企業を中心に安定的信用供与を行ってまいります。

自己資本比率
(注)・ 平成11年3月末の自己資本比率は、平成10年9月末の有価証券含み損を勘案した場合でも13%程度を見込んでおります。

不良債権処理計画

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