「経営の健全化のための計画」

5.資金の貸付けその他信用供与の円滑化のための方策

(1)基本的な取組み姿勢

 平成4年以降、弊社は、不良債権の早期処理を経営上の最重要課題の一つとして取組む一方、金融仲介機能を十分発揮することが銀行の社会的使命であると認識し、厳正な審査の下、法人及び個人のお客様への安定的な資金供給に努めてまいりました。

 今後も、弊社の戦略分野である財務管理業務における取引が期待できる優良な取引先を中心に、下記の方策等を講ずることにより、これまで以上に積極的に推進していく所存であります。特に、中小企業向けの貸出については、現況下、社会的要請にも鑑み、喫緊の課題として、前向きに取り組んでいく方針です。

 計数面では、実勢ベース(不良債権処理等の特殊要因を控除)での中小企業向け貸出金残高(インパクトローン含む)は、平成10年9月末26,748億円、平成11年3月末26,845億円、平成12年3月末27,739億円を見込んでおります。また、貸出全体の残高についても、実勢ベースで増加させてまいります。


(2)具体的な方策

1) 企業金融業務推進のための体制整備

 平成9年12月に、事業法人取引の推進機能を与信審査部門から分離し、かつ資本市場業務や資産流動化業務と統合し、総合的な企業金融業務の推進部署として、企業金融部を新設しました。

 さらに今後、東京地区と大阪地区については、店舗の再編を行い、事業法人取引の機能を集約することによって、専門家の育成、審査能力の向上および営業機能の強化を図ってまいります。これにより、融資業務におけるリスク管理能力を高めるとともに、資産流動化等の企業金融業務におけるサービスを一層向上させ、お客様のニーズにおこたえできるよう努力してまいります。

2) 中堅・中小企業取引の推進に関する、営業店への徹底・指導

  中堅・中小企業とも、借り換え需資を除いては、設備投資資金・増加運転資金等の所謂前向きな借入需要に乏しい、との現状認識をしておりますが、対象企業を広く選定し、継続的に需資の掘り起こしを行う等、与信残高の増加を図っていく予定です。

  一方、銀行の公共性、社会的使命という観点から、信用保証協会を始めとする各種保証制度の活用等についても、臨店指導や集合研修を実施し、周知徹底を図るとともに、健全な資金需要に広く対応するように指導を徹底してまいります。
 他方、貸出の審査においても、担保保全面のみに過度に依存することなく、お客様の資金使途を正確に把握し、返済方法の妥当性を検討することを心掛け、健全な借入申込みについては積極的に対応するよう徹底的に指導しております。
 特に、中小企業からの借入申込みについては、平成10年5月より「借入申込みチェック票」を作成する等、誠意ある対応を行うことにしております。すなわち、資金使途や返済計画等の判断をきちんと行った上で、お客様の借入申込みにお応えできない場合にも、窓口のみでの事務的な対応にとどまることなく、その理由を明確に説明すると共に、借入以外の他の手段による資金調達をアドバイスする等、お客様の立場に立って、肌理細かく対応しております。

3) 資産流動化を中心とした企業金融業務の推進

 お客様の多様化した借入ニーズに対応するには、融資業務以外にも、信託機能等を活用した、売掛金や手形債権等の資産流動化の方法の活用が不可欠であります。弊社では、お取引先企業の資金調達ニーズに対応すべく、平成9年度より積極的に推進しており、わが国でもトップクラスの実績を上げております。(平成10年9月末における中堅・中小企業からの受託残高は26社400億円に達しております。)
 弊社は今後も、本業務への人材の投入を継続し、調達スキーム構築等のノウハウの修得を進め、お客様からの流動化資産の受託を一層推進してまいります。
資産流動化業務の推進
 資産流動化業務の推進

4) 中核取引推進制度“CS21”及び事業支援制度“BS制度”の積極的な運営

 平成7年9月に「CS21」制度を新設し、将来の成長発展が見込める中堅、中小企業との新規取引の推進を展開してまいりました。本制度は、弊社の得意分野である、財務管理業務の機能を最大限に活用し、営業店と本部が一体となって、お客様の抱える様々なニーズにおこたえしていこうとする制度であります。

 さらに、平成8年5月には「BS制度」を新設し、弊社のお客様の事業紹介や業務斡旋を促進してまいりました。本制度は、弊社のお客様であるか否かを問わず、お客様相互の取引を斡旋し促進することで、お客様に対する事業支援を行っていこうとする制度であります。

 いずれの制度も、融資業務を伸ばすことのみを目的としたものではありませんが、将来弊社の中核のお取引先として、融資業務についてもお客様の一定の要望におこたえしようというものであり、両制度を今まで以上に積極的に運営することが、お客様の業績向上に繋がるものと考えております。

(図表10)貸出金の推移
 資産流動化業務の推進
 資産流動化業務の推進

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