「経営の健全化のための計画」

7.財務内容の健全性及び業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策

(1)各種リスク管理の状況

 弊社においては、本部・営業店に対する検査部門の臨店検査等の充実に努めるとともに、市場取引部門・信託財産運用部門等に対して、「独立したミドル部門(市場管理部等)」が業務・運用監査を実施しているほか、監査実施状況について検査部門による検査を行うなど、体制の整備、充実を図っております。

 また、「資産の自己査定部門(審査第1部等)」に対しても、自己査定が適正に実施されているかについて、与信監査室が監査を実施するほか、自己査定結果等に係る監査法人の監査も導入しております。これらの監査、検査結果については都度、経営陣に報告、フォローアップしております。

 これらに加えて、業務の内部検査、監査及び法令遵守体制の整備・充実を含めた内部管理・リスク管理の統轄部署として「業務管理部」を設置しているほか、事故・苦情等への対応は「総務部業務管理グループ」において統轄するなど、適切な業務監視体制を整備しております。

業務監視体制の概要

(図表12)個別リスクごとの管理体制

リスク
管理部署
現在の管理体制 過去1年にみられた改善を要する事例の件数および概要
信用リスク 審査第1部
(統轄)
審査第1部・国際部は、信用格付(10段階)を国内外同一基準で実施し、格付を基本としたリスク管理を行っている。
自己査定(年2回)を実施し、その結果を償却・引当に反映させる。
与信監査室、監査法人の監査の定期的な実施。
信用リスク量計測の高度化及びシステムサポート
不良債権発生未然防止のための審査・管理機能の強化
金利リスク 総合企画部
市場運用部
市場営業部
市場管理部
ALM・リスク管理委員会が全社的に統轄する。
バンキング業務の金利リスクは、円貨については市場運用部が、外貨については市場営業部が管理。
ポートフォリオのポジション管理のシステムアップ
カントリーリス
国際部
経済指標および政治・社会・経済情勢等を分析し、国別格付を実施。なお、外部格付機関の評価も参照。
格付に応じてクレジット・ライン上限額を設け、その範囲内で国別ラインを設定し(常務会決定)、国ごとの与信・有価証券運用等の枠を海外拠点を含め一元管理。
分析手法のノウハウ向上
マーケットリスク 市場管理部
市場管理部が各市場取引部門(海外支店、連結子会社含む)のマーケットリスクを測定し、一元管理。
トレーディング部門のリスク管理には内部モデルを使用。
国内におけるリスクリミットのモニタリングについてリアルタイム化。
バリュー・アット・リスクをリスク量の統一的な尺度として使用。
リスクリミットを設定して管理。
市場リスク計測の内部モデルについて外部監査を実施。
海外店におけるトレーディング部門のリスクリミットのモニタリングについてリアルタイム化
流動性リスク 総合企画部
市場運用部
市場営業部
ALM・リスク管理委員会が全社的に統轄する。
市場関連の資金の運用・調達は、円貨については市場運用部が、外貨については市場営業部が管理。
円貨・外貨流動性危機対応を含む緊急時対応ルールを制定。
緊急時対応ルールの充実
オペレーショナ
ルリスク
事務推進部
総務部
国際部
オペレーショナルリスクの内、事務推進部が事務指導・改善、総務部が緊急時対応・苦情紛争処理を統轄。なお、海外拠点については国際部が統轄。
国内外の各種規定・規則・マニュアルを継続的に検証・整備することにより改善を図る
EDPリスク システム部
システム開発基準書およびシステム運営規定集を制定し、標準化を徹底している。
システムの開発および運営の企画はシステム部が担当。
開発委託先とは、基本契約を締結し、守秘義務等基本的な事項を取り決め個別請負契約により委託内容等を明確に取り決めている。
検査部(システム監査グループ)主体でほぼ年1回監査を受けている。
分散システムについては、FISCの指針に準拠し基準を見直し、クライアントサーバーシステム開発・運営規準書を策定、セキュリティ対策の強化を図る計画
法務リスク 業務管理部
業務管理部による遵守体制の全社的一元管理。
全部室店に法令等の遵守責任者・担当者を設置、1) 職員の指導研修、2) 法令等の遵守に係る照会・相談窓口としている。
各本部の法令等の遵守責任者は所管商品・業務に係る営業店の指導監督を実施。
文書審査規定に基づき社内外に対し配布・掲載・発信・契約の締結等を行うために作成する文書について、その内容等につき所定の本部による事前審査体制を整備。
全職員向けの体系的な法令等の遵守マニュアルとして、「職員必携−法令等の遵守」を改定済。
各部室店の自主検査、検査部検査による法令等の遵守状況のチェック体制を整備。
海外拠点、子会社等関連会社、グループ会社を含む法令等の遵守体制の一元管理体制の整備
レピュテーショ
ナルリスク
広報室
「広報に関する規定」により、マスコミ等への公表、取材への対応窓口を広報室に一元化する等の統一ルールを定めるとともに、当社に関する誤報等に対する情報の収集についても広報室で一元管理し、関連部と協議のうえ、対応を経営に諮る体制としている。
(事故苦情等の事実への対応については総務部で一元管理し、広報室を含む関連部で対応協議する体制としている。)
「広報に関する規定」の社内徹底を図るとともに、誤報等に対する対応事例を蓄積し、対応力を強化


(2)資産運用に係る決裁権限の状況

 資産運用に係る決裁権限は、原則として、常務会の審議を経たうえで、社長が決定しております。
 なお、弊社の経営に特に重要な影響を与えるものについては、所定の決裁権限にかかわらず、取締役会の決議によるものとしております。

イ.貸出等に係る決裁権限
 居住者に対する貸出等に係る決裁権限は、1債務者当りの総与信額、信用格付、1件当りの金額を基準に、以下のように決定しております。(非居住者に対する貸出等に係る決裁権限もこれに準じております。)
居住者に対する貸出等の決裁権限(所管部:審査第1部、審査第2部、個人融資部)
業務監視体制の概要

ロ.有価証券に係る決裁権限
 有価証券の取得、処分等に係る決裁権限については、「事業法人との取引推進を目的とするもの」と「それ以外のもの」とに区分し、有価証券の種類、取得・処分の別、1件当りの金額等を基準に、以下のように決定しております。

1) 事業法人との取引推進を目的とするもの(所管部:審査第1部、審査第2部)
所管部:審査第1部、審査第2部

2) 1) 以外のもの(所管部:市場運用部)
所管部:市場運用部

 なお、2) の有価証券の取得、処分等の前提となる投資方針等については、ALM・リスク管理委員会の審議を経たうえで、市場運用部の担当役付取締役が決定しております。


(3) 行内企業格付け、ローングレーディングによる管理の状況

現行の企業格付の体制は、次の通りであります。

1) 実施部署
 営業部店で第1次格付を行い、所管部(審査第1部、審査第2部、個人融資部、国際部)において最終格付を実施しております。
2) 実施時期
 原則として、年1回、6月末日を基準日として実施する他、取引先の業況が変化した場合、また、延滞の事実が発生した場合等においては、逐次見直すこととしております。
 また、海外与信については、新規与信の都度格付を実施し、上記の見直しを併せて行って おります。
3) 対象先
 基準日現在で与信残高がある全取引先を対象に実施しております。また、基準日現在で与信枠を設定している取引先、および、今後与信取引が見込まれる先については、適宜、対象としております。なお、基準日以降の新規取引先については、必要に応じて格付を行うこととしております。
4) 格付基準
 財務面において、安全性・収益性・成長性の各観点から、各種指標を用いて財務評点を算出したうえで、非財務面において、経営基盤・経営者について、各種指標を用いて非財務評点を算出いたします。財務評点と非財務評点を合算して算出した信用評点の水準、ならびに貸出条件・履行状況等を勘案して、1〜10の格付ランクを決定しております。この格付ランクは、資産査定における債務者区分と整合しております。
5) 格付の活用
 企業格付については、貸出債権を中心とした資産のポートフォリオ全体を、格付別に把握し、管理するよう努めているとともに、貸出等に係る本部及び営業店長決裁権限を決定する要素としております。

 今後は、格付ランクの細分化、各種指標・評点の見直し、デフォルト率概念の導入等を検討し、企業格付の一層の高度化を図ってまいります。

(ローングレーディングについて)

 国内与信においては、前頁のように債務者格付は実施しておりますが、契約別の格付は実施しておりません。今後は、リスク管理の高度化(リスクに応じたリターンの確保等)の一環として、できるだけ早い時期に、契約別の格付を導入いたします。

 一方、海外与信においては、企業格付の他に、契約別の格付も行っております。契約別の格付は、企業格付をベースに、貸出期間や保全状況、カントリーリスク等の項目を加味して決定しております。


(4)資産内容

イ.金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律第3条第2項の措置後の財務内容
( 図表13 ) 法第3条第2項の措置後の財務内容
 法第3条第2項の措置後の財務内容
ロ.全銀協統一開示基準

( 図表14 ) リスク管理債権情報 (注1)
業務監視体制の概要
(注1) 全銀協の「有価証券報告書における「 リスク管理債権情報 」の開示について」( 平成10年3月24日付、平10調々第43号 )の定義に従うものとし、貸出条件緩和債権について複数の項目に該当するものについては最も適当と判断した項目に計上すること。
(注2) 会計方法の変更により資産から控除される間接償却部分。


(5) 償却・引当方針

イ.従来の償却・引当
- 基本的考え方、体制の強化、引当率等の算定方法等。

適正な償却・引当の実施
個別の償却・引当は稟議決裁
破綻懸念先の引当額算出に用いる倒産確率は50%
要注意先については今後1年間の予想損失額を一般貸倒引当金に計上
ロ.公的資金による株式等の引受け等を踏まえた自主的・積極的な償却・引当方針
- 基本的考え方、体制の強化、引当率等の算定方法等。

適正かつ十分(保守的・予防的)な償却・引当の実施
個別の償却・引当は常務会決裁かつ取締役会報告
破綻懸念先の引当額算出に用いる倒産確率を70%に変更
要管理債権先については、無担保部分の15%を一般貸倒引当金に計上するとともに、その他の要注意先については平均残存期間に対応した予想損失額を一般貸倒引当金に計上

- 債権放棄に対する考え方。
 債権放棄につきましては、弊社といたしましても、借り手企業の再生につながることで、残存債権の回収が、より確実となる等の合理性を有する場合、当該企業の経営責任の明確化等を考慮しつつ、責任をもって行っております。

( 図表15 ) 不良債権処理状況
不良債権処理状況

( 図表16 ) 不良債権償却原資
不良債権処理状況

ハ.管理部等における管理・回収方策

 不良債権の管理、回収については、重要な経営課題として、従来より積極的に取り組んでまいりましたが、今後も、体制の強化等を通じて、不良債権の回収を進めてまいります。

1) 管理・回収専門部署の設置
 平成5年5月、不良債権の管理回収の専門統轄部署として、融資第2部を設置致しました。さらに、平成5年10月には、首都圏の不良債権の集中管理・回収専門部署として、融資営業部を設置し、回収に努めてまいりました。

 現在は、融資第2部および融資営業部を統合した審査第2部において不良債権の管理、回収を推進しております。また、首都圏に加え近畿圏についても審査第2部で集中管理、回収を行うことにより、体制の強化、効率化を図っております。

2) 回収方策
 バルクセール等の手法による債権の流動化による処理スキームを企業金融部資産流動化グループにて研究し、継続的に不良債権の流動化に取り組むことにより、最終処理を加速させています。(平成10年度中のバルクセールの実績は、約600億円。平成11年度以降においても、同規模のバルクセールを実施予定)。また、不動産担保等の担保を取得している債権については、次のような手法により鋭意回収に取り組んでおります。
延滞1年以下の不良債権については、審査第2部に不動産専任担当者を配置する等、担保の任意売却の方法で回収を図っております。
(平成10年度中の担保の任意売却による回収実績見込みは、約60件60億円程度。
平成11年度においても、10年度を上回る規模の回収を計画)。
延滞1年超のものは、原則として競売により回収を図るとともに、共同債権買取機構への債権の売却による回収も図っております。
ニ.行内企業格付けごとの償却・引当の目処
(図表17)過去1年間の倒産先(10年1月〜12月)(件、億円)
倒産1年前の行内格付け  件  数   金  額 
41
13 413
32 108
10 167
合計 60 733
(注)小口(与信額50百万円未満)は除く

(6) 含み損益の状況

(図表18)含み損益総括表
含み損益総括表
含み損益総括表


(7)金融派生商品等取引動向

(図表19)オフバランス取引総括表
含み損益総括表

(図表20)信用力別構成(10/9月末時点)
含み損益総括表

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