「経営の健全化のための計画」の履行状況に関する報告書

(概要)経営の概況

1.11/3月期決算の概況

 平成11年3月期の当社損益につきましては、信託勘定償却前業務純益は前期比209億円増加の945億円となりましたが、不良債権処理損失の増加等により経常利益は前期比2,413億円減少の△2,252億円、税引後当期利益は前期比1,361億円減少の△1,277億円となりました。なお、当期より税効果会計を採用しており、税引後当期利益には915億円の法人税等調整額が含まれております。
 信託勘定償却前業務純益の増加は、国債等債券関係損益が81億円減少したものの、スワップ収支の改善等による資金利益の増加121億円、特定取引利益の改善88億円、経費の減少68億円等によるものであります。
 個別不良債権の処理損失は、銀行勘定で2,977億円、信託勘定で601億円、両勘定合算では前期比2,644億円増加の3,578億円となりました。破綻懸念先の倒産確率を70%として個別貸倒引当金を計上するとともに、要管理先債権については担保等を控除した債権額の15%を一般貸倒引当金に計上するなど、予防的かつ保守的な償却・引当に努めるとともに、含み損を有する投信を一括処分し資産の健全化を進めました。  なお、「経営の健全化のための計画」における平成11年3月期の見込みとの比較では、信託勘定償却前業務純益は39億円、経常利益は28億円、税引後当期利益は14億円増加しました。

 一方、当期の連結損益は、経常利益△2,267億円、当期純利益△1,570億円となりました。 当期純利益が単体決算に比べ293億円下回った主因は、税率変更による過年度分の税効果の減少であります。連結決算に当たっては、新連結決算制度により連結子会社を8社から21社に拡大したほか、当社単体決算と同様の貸倒引当金の計上を行ないました。

 当期末の連結自己資本比率(国際統一基準)は、公的資金2,000億円を含む3,000億円の資本調達により、前期末比3.16%ポイント上昇し13.83%となりました。円高による外貨建劣後債の円換算額の目減りを中心とした自己資本の減少とリスクアセットの増加により、自己資本比率は当初見込みに比べ0.49%ポイント低下しております。


2.経営健全化計画の履行状況

(1)業務再構築等の進捗状況
 経営健全化計画に挙げました業務再構築のための方策につきましては、いずれの項目につきましても概ね計画通り、一部につきましては前倒しで進めております。以下に具体的内容の主要項目について進捗状況を記しております。

進捗状況
三和銀行との資本・業務提携の状況


(2)経営合理化の進捗状況
 10年度(末)の役職員数、国内店舗・海外拠点数、人件費、役員報酬・賞与および物件費は、いずれの項目についても概ね見込み通り、一部については、見込みを上回る合理化を実施しております。
 なお、物件費全体を見込み以上に圧縮する中で、機械化関連費用については、競争力強化のためのシステム投資を前倒しで実施したこと等により、見込みを上回っております。

(3)不良債権処理の進捗状況
 不良債権(破産更生債権及びこれらに準ずる債権と危険債権)の残高は、見込みに比べ若干増加しましたが、不良債権に対しては十分な個別貸倒引当金を計上するとともに、将来の不良債権の発生による損失に備えて一般貸倒引当金を積み増しました。
 資産の自己査定は金融監督庁の「金融検査マニュアル案」の考え方に従い厳正に行なうとともに、償却・引当は金融再生委員会の「資本増強に当たっての償却・引当についての考え方」等に則って行なっております。

(4)国内向け貸出の進捗状況
 社会的要請を踏まえ安定的な信用供給に努めた結果、中小企業に対する実勢ベース貸出はほぼ見込み通りとなりました。インパクトローンを含む実勢ベース国内貸出全体は、見込みを若干下回っておりますが、これは、破綻懸念先、破綻・実質破綻先を中心に、担保物件の売却や保証人代位弁済等の特殊要因に計上されない不良債権処理を進めたことによるものであります。

(5)その他経営健全化計画に盛り込まれた事項の進捗状況
 11年6月の株主総会において定款を変更し、相談役制度を廃止しました。また、10年度の配当については0.5円/株減配し、年5.5円/株としました。 なお、有価証券の含み損益については、現在、含み益に転じております。

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