遺産分割協議とは

遺言がなければ、相続財産をどう分けるかは共同相続人が話し合いで決めることになります。これが分割協議で、共同相続人が全員加わらなければならないことになっています。
また遺言があっても、相続分の割合だけ指定されている場合、具体的に相続財産を分ける(遺産の分割)ためにはやはり相続人の分割協議が必要です。
実際には、全員集まる必要はなく、代表者が協議書の案を作って、持ち回りで同意を求めて成立させてもいいのです。
また、個々の相続人は、協議に代理人を立てることができます。

[分割協議書]

分割協議が成立すると、その結論を書きしるして共同相続人が署名または記名し、実印を捺印します。協議書には印鑑証明書を添えるのが通例です。
書類は必ずしも作らなくてもいいのですが、後々の、証拠資料として、作っておくと良いでしょう。また、不動産の相続登記のとき、添付資料として利用できます。

[分割の対象となる財産]

遺産分割の対象となるのは、遺産のはずですが、どこまでが遺産となるかは、かなりやっかいな問題です。
また、急に死亡した時に、財産が整理されていないと、被相続人のものか、家族のものか、わからない場合もあります。
このほかに遺産分割で問題になるのは、寄与分特別受益という制度です。

遺産分割協議の書式例

遺産分割協議の書式例

寄与分

共同相続人のうち、遺言者の事業に関する労務の提供、財産上の給付、療養看護などにより、被相続人の財産の維持・形成に特別に寄与した人は、遺産を分割する前に相続人全員の協議を経たうえで、寄与分として遺産の中から相当分を取得することができます。相続人全員による協議が整わない場合、家庭裁判所に申立てし、審判してもらうこともできます。遺言で相続分の配慮をしておくのもひとつの方法です。

  • 2019年7月1日から特別寄与料の請求権の制度創設により、2019年7月1日以後の相続については、相続人以外の親族*が一定の要件のもとで相続人に対して、金銭の請求をすることができるようになりました。
  • * 相続人以外の親族〈例〉子の配偶者、相続人でない兄弟姉妹、被相続人の配偶者の連れ子

特別受益

遺贈、婚姻・養子縁組のため、または生計の資本として生前贈与があった場合、生前贈与等を受けた相続人の相続分は、相続開始時の相続財産額に贈与の価額(「特別受益」といいます)を加えた価額に基づき法定相続分を算定し、その中から遺贈・贈与の価額を控除した残額となります。


  • 2019年10月現在の法令をもとに記載。