米国の相続手続きは日本の相続手続きとどのように違うのでしょうか?

日本の相続手続では、基本的には、遺言もしくは相続人の話し合いに基づき手続きが進められていきますので、相続人間で争いがある等の事情がない限り、裁判手続きが求められることはあまり一般的ではありません。
一方、米国では、基本的に裁判所の管理のもと相続手続が進められます。
相続が開始すると、管轄の裁判所が、人格代表者(Personal Representative)という者を任命し、その者が、被相続人の残した財産(債務も含みます)や遺言書を調べ、相続人が誰なのかを確認し、債務の返済や、必要な税の申告・納税を行い、最後に残った財産を相続人などに受け渡します。この一連の手続きを「プロベイト」と呼びます。

「人格代表者」とは何ですか?

「人格代表者」(Personal Representative)とは、米国の現地で相続手続を実施する者のことで、相続人等からの申請に基づき、現地の裁判所が任命します。
「人格代表者」には個人でも法人でもなることができますが、相続人の代表や、弁護士等の専門家、金融機関等が任命されている例が多いようです。なお、プロベイトを行う州に居住していない者が人格代表者となれるかについては、各州の定めによります。

プロベイト手続きはどの程度の期間と費用がかかりますか?

期間や費用については、財産の種類や財産額、財産が所在する州、遺言の有無、遺産に関する争いの有無等により大きく異なるため、一概にどれくらいの期間かを申し上げることはできません。
極端な例では何十年もの間手続きを行っているケースもあるようですが、概ね1年から3年程度の期間を要するケースが多いようです。
費用についても、ケースにより異なりますが、米国の専門家の料金は従事した時間に応じて課金されるのが一般的ですので、時間がかかるケースであれば、それだけ費用もかさむことになります。

プロベイト手続きを行わないと相続財産はどうなりますか?

プロベイト手続きを行わない場合、財産の相続手続きが実施されず、相続人は相続財産を自分たちの財産とすることができません。また、同手続きは必要な税務申告もあわせて実施しますので、同手続きを行わない場合、遺産税や所得税の申告手続きが進められなくなる可能性があります。

米国の相続手続きで、相続人間の合意による遺産分割は認められますか?

米国では、一般的に、遺言がある場合には遺言で定められた配分方法に従って、遺言がない場合には各州法の定めに従って、相続財産が配分されることになります。
相続人間の合意による遺産分割が認められるのかどうかは、各州法の定めによります。

米国の連邦遺産税はかからない見通しですが、それでもプロベイト手続きが必要になりますか。

プロベイト手続きの要否は各州のプロベイト関連法の定めによります。連邦遺産税の課税の有無とは関係ありません。

どのような財産でもプロベイト手続きが必要となるのでしょうか?

米国の相続手続きでは、プロベイト手続きを経る必要がない場合もあります。
例えば、財産額が一定額以下の場合(州により異なります)には、プロベイト手続きが不要となることもあります。
また、米国財産を信託財産とする生前信託を設定した場合、米国財産を所定の要件を満たした共有名義とした場合、預金口座等において承継者を指定した場合にも、原則として、プロベイト手続きが不要となります。
くわしくは、「相続にあたっての事前の準備」をご覧ください。

遺言を作成すれば、プロベイト手続きは不要になりますか?

米国財産について遺言を作成した場合であっても、原則として、プロベイト手続きが必要となります。
このため、米国では、財産の承継方法を指定するものとして、プロベイト手続きを回避できる「生前信託」が広く利用されています。