Talks

年齢を重ね、ますます輝きを増す俳優・中井貴一氏
大切にしている価値観や未来へつなぎたい想いを、窪田社長、社員と語ります。

Talks Vol.01

俳優 中井 貴一

取締役社長 窪田 博

信頼と専門性を強みに
組織の力で社会課題に向き合う

信頼される存在であるために、社員一人ひとりが専門性を磨く

窪田

私は入社して33年になり、直近20年は法人営業と経営企画の本部等でキャリアを積んできました。その中で重視してきたのが「信頼」と「信託銀行員としての専門性の向上」です。営業であればお客さまに信頼していただけるよう全ての事柄に誠心誠意向き合う。さらに、他社との差異化も意識して、1つの領域を深掘りするだけでなく、ほかの領域でも知識や経験を得る努力を惜しまない。
こうした行動原理は言うならば当社の企業文化でもあり、信頼と専門性を従業員一人ひとりが強く意識して行動できることが当社の大きな強みと考えています。

中井

そういった意識を社内で長く共有してこられたのは素晴らしいことだと思いますね。
窪田さんや私は昭和の教育を受けてきた世代ですが、平成、令和と時代が進んでいくと人の育て方や教え方も変わってきます。私が危惧しているのは、まさに今、窪田さんがおっしゃったような「人に対して誠実である」とか「人のために専門性を磨く」といった利他の精神が受け入れられにくくなっていることです。

信託銀行に通じる「One for All,All for One」の精神

窪田

その意味では私たちの世代が若い世代をリードしていく必要があると考えておりまして、私自身も常に自ら率先して行動するよう心掛けています。
私は高校時代ラグビー部で、ラグビーで学んだ「One for All,All for One(一人は皆のために、皆は一つの目標のために)」の精神を今に至るまでずっと大切にしてきました。当時の監督から、「トライをしても『俺が決めたんだ』とばかりに派手なパフォーマンスをするのではなく、そこまでボールをつないでくれた皆に感謝しなさい」と言われたことが心に残っているんです。
信託銀行のビジネスもラグビーに通じるところがあって、お客さまや社会のさまざまな課題に対して、時には長期的な視点を持ちながら、組織やチームで根気よく誠実に取り組むことが求められます。一人のヒーローが活躍するのではなく、個々の従業員がそれぞれの専門性を発揮しながら組織全体の力を結集し、お客さまや社会の想いをトライまで丁寧につないでいく、それこそが当社の存在意義でもあると思っています。

中井

確かに、信託銀行の仕事はラグビーに似ているかもしれません。
私は学生時代、テニスをしていましたが、観戦するスポーツの中ではラグビーが一番好きです。ラグビーの考え方というのは本当に素晴らしくて、「One for All,All for One」は全てのスポーツに共通する言語のように思います。
以前、プロ野球の王貞治さん(福岡ソフトバンクホークス 取締役会長)とお話ししたことがありますが、王さんがホームランを打っても淡々としているのは「皆の総合力で打たせてもらっているから」だとおっしゃっていました。皆が「One for All,All for One」の気持ちを持つようになったら、日本の社会はもっと良くなるのではないでしょうか。

次世代に伝えていきたい時代劇の「和の文化」

窪田

まさに おっしゃる通りですね。
当社は2027年に創立100周年を迎えます。先人たちが1世紀にわたってつないできた想いを未来にもしっかりつないでいきたいと、この度、社員と一緒に考えたタグライン(コーポレートメッセージ)が「人をつなぐ。未来をつなぐ。」です。
中井さんも俳優として長年の経験をお持ちですが、これまで作り上げてきた作品やキャリアの中で、未来につないでいきたい想いはありますか?

中井

たとえば、歌舞伎のような伝統芸能の世界には家の中で承継していく踊りや所作があるわけですが、俳優の場合は意外とないんですよ。そうした中で今強い危機感を抱いているのが、時代劇の制作が減り、若手俳優が経験を積む機会が失われてしまっていることです。時代劇のかつらや着物を身に着ける文化ですとか、日本人ならではの美しい所作といったものは、私たちの世代がつないでいかなければならないものだと思っています。
日本には時間をかけて培われた素晴らしい文化があるのに、今はそれをどこかに置き去りにしてしまっているような印象を受けます。時代劇に限らず、そうした文化がしっかり伝承されていく社会にしたいですね。

「継続は力なり」で経験値を重ねることの大切さ

窪田

私は10年後、20年後に振り返って、「少しでも社会に貢献できた」と後輩や子供たちに誇れる自分でありたいと思っています。そのためには日々チャレンジを続ける必要があり、アップル創業者のスティーブ・ジョブズではないですが、一日の最後には必ず「今日一日を悔いなく全力で取り組めたか」と自問自答しています。そして、できていなかったらすぐに軌道修正したり、行動を見直したりする。周りにもあえて宣言することで、ストイックでありたいと考えています。

中井

さすが、元ラガーマン!毎日が全力投球なんですね。とはいえ、時にはダラ〜っとしたいこともありませんか?(笑)私は、そういう時には無理をしないようになりました。
大切なのは「継続する」ことだと思うんです。経験値を積み上げていく中でしか分からないことがたくさんあります。ですから、適度に緩急をつけながらやっていくのがいいのかなと最近はしみじみ思います。 ここ数年はどの業界も売り手市場で、若い世代には「ここがダメなら次行こう」とばかり転職を繰り返す人も増えていると聞きます。しかし、地道に経験値を積んでいって初めてわかることが少なくないんですよ。

「代表作を作る」が次の仕事へのモチベーションに

窪田

まさに「継続は力なり」ですね。一方で、中井さんは50代で初めてミュージカルに挑戦されるなど、ベテランと呼ばれる年代になっても守りに入らず、常にチャレンジを続けていらっしゃいます。そのパワーの源泉はどこにあるのでしょうか?

中井

私の場合、基本的に過去、つまり終わってしまったことに興味がないんです。ですから、「中井さんの代表作は何ですか?」と聞かれた時にはいつも、「まだありません」とお答えしています。私も会社員なら定年を過ぎた年代になりましたから、「これから絶対に自分の代表作をつくる」という気持ちが次の仕事へのモチベーションにもなっています。
会社員の方だと定年というゴールがありますが、俳優にはありません。自分で身を引くタイミングを決める必要があり、ある意味、酷なんですよ。
新しいことに挑戦することは恥をかくことだと思います。私たちの仕事は恥をかけなくなったら終わりなので、どこまで恥をかけるかトライしている感じでしょうか。

窪田

素晴らしいですね!俳優・中井貴一さんの真髄を見た想いです。
私は若い頃から中井さんが出演されたドラマや映画をずっと見てきた世代なので、年々俳優として深みを増し、演技の幅も広げられているのは本当にすごいことだと思います。

社会課題解決への挑戦が「人をつなぐ。未来をつなぐ。」実践につながる

窪田

当社は今、2024年4月からスタートした中期経営計画の柱となる「社会課題解決サービスの追求」を推進しています。
そうした中、高齢化対応という社会課題に対しては、当社が老人ホームを信託のスキームを活用して小口化した上で投資家に販売することにより、社会に不足している老人ホーム等の高齢者施設を増やすことができ、それと同時に投資家の運用ニーズを満たす貢献をしています。
また、大学生の2人に1人が奨学金を利用し返済負担が社会問題となっていることに対し、返済不要な給付型奨学金ファンドの立ち上げの準備も進めています。
このように社会課題解決のための挑戦を続けることこそ、当社が「信じて託される存在」であり続け、タグラインの「人をつなぐ。未来をつなぐ。」を実践することにつながるのではないかと考えています。

中井

いいお話ですね。社会は人が作るものですから、これから先も、多種多様な課題に向き合っていかなければならないのだろうなと想像しています。たとえば、私たち俳優の仕事もその1つです。人の余暇に存在する仕事と言うんでしょうか、お客さまに夢を持っていただくとか、ちょっと日常を忘れていただくといった役割を果たしているのではないかと思うわけです。
将来への不安は金銭など可視化しやすい分野で判断されがちですが、実のところ、今の日本人に一番足りていないのは「幸福感」ではないかと思います。ですから三菱UFJ信託銀行が「皆が安心して快適に暮らせる社会」の一端を担うことで、日本に広がっている漠とした将来不安を取り除いていただけたらうれしいですね。
私もそろそろ老後を考える年齢になりましたので、今後、お世話になる機会が増えるかもしれません。その際はよろしくお願いいたします。

窪田

改めて中井さんの幅広い視点でのお話と誠実なお人柄に触れ、これから「人をつなぐ。未来をつなぐ。」存在として、全社一丸となってより一層頑張っていこうと思いました。中井さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

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