Talks

年齢を重ね、ますます輝きを増す俳優・中井貴一氏
大切にしている価値観や未来へつなぎたい想いを、窪田社長、社員と語ります。

Talks Vol.02

俳優 中井 貴一

三菱UFJ信託銀行 社員

〜未来へと想いをつなぐ〜 大切なことは「信頼される人間」であること

資産のことで困った時に役に立つのが「信託銀行」

中尾

私は主に新商品の開発や、新規事業の創出に携わっています。
私たち三菱UFJ信託銀行は2027年に創立100周年を迎えるのを機に、これまで当社がお客さまや社会に対して提供してきた価値や当社の強みを整理し、改めて外部の皆さまに訴求していくプロジェクトを立ち上げました。今日はプロジェクトのコアメンバー3人で中井貴一さんと一緒に「人をつなぐ。未来をつなぐ。」という当社の新しいタグライン(コーポレートメッセージ)をどう体現していくかについて、お話ししていきたいと思います。中井さん、よろしくお願いいたします。

中井

私が気になっているのは、銀行と信託銀行の違いがわからないという方が結構いることですね。私は三菱UFJ信託銀行のテレビCMに長く出演させていただいているので「どこが違うの?」とよく聞かれるんです。その時は、「世の中の情勢が不安定になったり、インフレで物価が上昇してきたりして、この先資産をどうしようと困ってしまった時こそ、信託銀行が役に立つんですよ」とお伝えするようにしています。
情報社会と言っても、やはり私たちが自分でできることは限られています。そんな中で「相談窓口がないから困る」という人たちが、私の周囲には少なからずいます。ですから、「自分のお金をどう運用したらいいか、親の相続をどうするかについて、相談しに行けばいいんですよ」と言うと、「本当に相談だけでもいいの?」と訝られてしまう。
そういう意味では、「気軽に相談ができる開かれた信託銀行」というイメージが広く浸透していけば、お客さまの心理的なハードルも下がってご利用される方がぐんと増えるのではないかと思いますね。

お客さまは「信用」に対してお金を払っている

坪井

ご助言、ありがとうございます。
私は法人のお客さまに対する営業推進に携わっているのですが、信託銀行の一員として「信じて託される存在」であり続けるためには、お客さまのニーズを正しく理解するだけでなく、お客さまが気づいていない潜在的なニーズや将来のリスクを先取りし、それに対するソリューションをご提供することが大切だと考えています。
中井さんは俳優というご職業を続けてこられた中で「信じて託される」ということについてどのようなお考えをお持ちなのか、ぜひお伺いしたいです。

中井

俳優の仕事は映画であれ舞台であれ、お客さまにお金を払ってご覧いただくものです。何にお金を払っていただけるかというと、やはり「信用」なんだと思うんですよ。ですから、私は仕事と向き合うに当たって自分に嘘がつけなくなりました。疲れていて「台本、もういいかな・・・」と思っても、その誘惑に負けてしまうと私に対する信用を放棄したことになる。それだけはやっちゃいけないというのが、私が常々自分に言い聞かせていることです。

坪井

自分に嘘をつかない姿勢、さすがプロフェッショナルですね!

この先の未来も人の心はアナログでつながっていたい

室井

今日、会社を出る時に、同僚から「目がキラキラしてるね」って言われまして(笑)、中井さんとお話しできるのをすごく楽しみにしておりました!私は市場部門に在籍しておりまして、お客さまからお預かりした預金や市場から調達した資金を元手に債券やクレジット、為替取引を行うことで利益を積み上げながら、当社全体のバランスシートをコントロールしています。
私たちはプロジェクトの中で、お客さまとの「お約束」であり、当社の従業員が何を目指すべきかを言葉にしたタグラインを作成しました。それが「人をつなぐ。未来をつなぐ。」です。このフレーズを中井さんのお仕事に置き換えて、思い当たるご体験やエピソードがあったらお話しいただけますか?

中井

そうですね。今、世の中ではものすごいスピードでデジタル化が進んでいますが、私は、人間の心の中までデジタル化されてしまったら怖いと思います。俳優の仕事だって、そう遠くない将来にはAI(人工知能)に取って代わられてしまうかもしれません。でも、AIでは決して表現できないものもあります。それこそ人間が人間たる所以であって、たとえば、人は互いの目を見て話すことで相手と心のつながりを得て、そうしたつながりは一定の節度を以て繰り返されていきます。それは私の仕事においても大変重要なことで、コミュニケーションのツールはデジタルになっても人間の心はアナログのままで未来につながっていってくれたらいいなと思いますね。

室井

確かに、人の心や人間同士のコミュニケーションは何千年前も今も変わりませんよね。どんなに技術が発達しても、変わらないもの、変えてはいけないものもあるんだなということを改めて感じました。

作品を未来に残すより「今ベストを尽くす」

中尾

中井さんの仕事への向き合い方、大変興味深くお伺いしました。実は私、映画を見るのが好きで、中井さんの出演作品を多数拝見しています。『記憶にございません!』のようなコメディタッチのものから『麒麟の翼』のようなシリアスな演技まで、幅広い役柄をこなす姿に感銘を受けております。中井さんご自身が多種多様な作品や役柄を演じられる中で、後世につないでいきたい想いがあったら、ぜひお聞かせください。

中井

私自身は自分の演技や作品を未来に残すということは正直、あまり意識していないんです。役者は代わりのいない世界と言われますが、そんなことはありません。私がこれまで演じてきた役柄だって、私が演じていなければ必ず誰かがやっていたはずです。「後世まで残してやろう」という気持ちでやっていたら、逆に残らないのではないでしょうか。
私の場合はこれまで自分がやってきたことにはあまり興味がなくて、常に「今ベストを尽くす」、「次の仕事を代表作にしよう」という気持ちで取り組んでいるので、結果的にそれが良かったのかなと思います。

中尾

中井さんのお考えは、当社のような信託銀行のビジネスの根幹に通じるところがあるように感じました。というのも、私たちが委託者であるお客さまから権利や資産をお預かりする時、お客さまの想いは過去ではなく、お子さまやお孫さま、あるいは何十年後の社会インフラといった未来に向けられているからです。「未来のために今自分は何ができるか」という視点は中井さんと一緒です ただ、信託銀行の業務や役割が世の中になかなか根付いていないという課題を感じることがあります。一方で、世の中が先行き不透明で不安の種が増えていくほど、大切な財産を信頼する相手に預けたいという人は増えてくるので、信託銀行のニーズは高まってくると思うんです。

中井

そこで何がポイントになるかというと、「人」だと思いますね。社員の皆さん一人ひとりがお客さまから信頼される人間であることが最も重要です。特に若手社員の方々は、人として成長することがビジネスパーソンとしての成長にもつながっていくように思います。

信頼は人を想う心の積み重ね

坪井

今のお話を受けて、中井さんは「人をつなぐ。未来をつなぐ。」というタグラインを掲げている会社の社員に、どのような振る舞いをしてほしいと思われますか?
私自身は業務を通じて取引先企業の発展をサポートすることで日本経済の成長に寄与し、さらに、当社のお客さまは「当社に信じて託してくださること」で将来の不安が払しょくされ、安心で豊かな社会が構築されていくという未来を思い描いています。

中井

皆さんとお話ししていて、「人をつなぐ。未来をつなぐ。」への想いや、その担い手としての自覚がひしひしと伝わってきました。タグラインは困った時にいつでも立ち戻る指針になる一方で、皆さんにはそれに縛られず臨機応変にケースバイケースでの対応が求められる場面も少なくないのではないかと思います。
そして、そういう時に何が一番大切かというと、先ほども言いましたが「信頼される人間であること」。経済は人間が創り出したものなのに、今はその人間が経済に振り回されてしまっている感があります。ですから皆さんには経済を動かしながら人間社会をリードしていくという覚悟を持って業務に取り組んでいただきたい。自信を持って提案できるスキルを身に付けることが、お客さまからの信用にもつながっていくと思います。

坪井

先ほどから何度か「信用」、「信頼」というキーワードを使っていただいていますが、私たちトラストバンカーには大変心に響きます。信託銀行は「信用」を扱っているので。

中井

信託銀行の一丁目一番地ですよね。トラストバンカーは信用、その一言に尽きる! 私は幼少時代に祖母も一緒に暮らしていて、祖母から「人間はね、人のために生きるように生まれてくるんだよ」と口を酸っぱくして言われました。
昭和の時代は、ある意味、それが当たり前だったんですよ。それが私の道徳心のベースになっています。幼い子供でも、電車で座っていて目上の方が乗ってこられたら、ぱっと席を譲る。今は逆に、子供が座って親が立っていたりしますけどね(笑)。
とはいえ、祖母のそんな教えがあったから、60代の今振り返って、俳優業を通して誰かのお役に立ててきたことが本当に良かったと思えるんです。
信託銀行がやっていることはまさに、人のための仕事でしょう?「信じてもらって託されること」の喜びと責任を胸に、お仕事に励んでいただきたいなと思います!

室井
中尾
坪井

本日はありがとうございました。中井さんから頂戴したお言葉を励みにして、日々の業務に邁進していきたいと思います!

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