人をつなぐ。未来をつなぐ。

社長インタビュー

Top Interview
interview 社会やお客さまに対して期待を超える価値を創出し続ける「進化を続ける専門家集団」に 三菱UFJ信託銀行株式会社 取締役社長 窪田 博

――三菱UFJ信託銀行は2027年に創立100周年を迎えます。100周年に向けた意気込みをお聞かせください。

窪田

私は入社して33年になりますが、100年はその3倍にも相当する長い年月です。先輩方が時間をかけて丁寧に築き上げてきた社会やお客さまからの信頼の重みを受け止め、次の世代にしっかりとつないでいきたいですね。そして次の100年も、社会にとって「なくてはならない存在」であり続け、共に成長していくことを目指したいと思います。折しも、政府による資産運用立国実現プランが進んでいますし、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展や2026年4月の改正公益信託法の施行で信託ビジネスのさらなる拡大が見込まれ、業界には強い追い風が吹いています。

――そうした大事なタイミングで、全社を挙げてブランディングプロジェクトを実施されました。経緯をお教えください。

窪田

近年、業務が細分化しそれぞれの専門性を高めてきた結果、部門や事業の軸、言い方を変えるなら組織の縦割りの部分が強くなり、横の連携の意識が低下しエンティティとしての力が弱まってきているのではないかという危機感がありました。そこで、全社一丸となってもう一度、三菱UFJ信託銀行のブランドを構築する必要があると考え、プロジェクトをスタートさせました。

――社員によるボトムアップ型のプロジェクトだったとうかがいました。

窪田

はい。社員の手挙げによってプロジェクトを組成し、参加したメンバーが弊社のブランドとは何かを徹底的に議論して、そのうえでコーポレートメッセージやステートメントの原案を作成しました。最終ステージでそれを2案に絞り込み、弊社の役職員で投票して決めたのが、今回発表したものです。「人をつなぐ。未来をつなぐ。」というコーポレートメッセージ、手前味噌ではありますが、なかなか良いものができたと思っています。対外的に強くアピールしていきたいですね。

――「人をつなぐ。未来をつなぐ。」はおっしゃる通り、心に残る素敵なフレーズだと感じます。どんな想いが込められているのでしょうか?

窪田

「未来志向で、将来に向けて社会や一人ひとりの人生を、信託機能を活用しながら大切につないでいく」という弊社の役割や強い意志を表現しています。

――社としての決意表明なのですね。では、その新コーポレートメッセージの下で、どんなことに力を入れていきたいですか?

窪田

弊社は中期経営計画(中計)で6つの戦略の柱を掲げており、足元ではそれを全て実践していくことが重要と考えています。まずは社会全体やお客さまのお役に立つような課題解決サービスの追求。これが一丁目一番地です。2つ目がグローバル展開の拡大、3つ目が新規事業の創出、4つ目はそうしたビジネスを支える専門家集団の確立です。さらに5つ目がデジタルを中心としたITインフラの拡充。そして、最後に社員のエンゲージメント向上。この6つを着実に推進していくことが、「人をつなぐ。未来をつなぐ。」の実現につながっていくと考えています。私は先頭に立って全役職員を鼓舞し、引っ張っていく覚悟です。

――窪田社長個人として「未来につなぎたい想い」がありましたら、ぜひ、お教えください。

窪田

そうですね。まずは弊社の素晴らしいカルチャー、具体的には心根の優しい仲間たちと社内の抜群の風通しの良さ、これはしっかり未来につないでいきたいですね。もう1つ、いろいろなところでお話ししているのですが、私、高校時代はラグビー部に在籍しておりまして、「One for All , All for One(一人は皆のために、皆は一つの目標のために)」の精神をずっと大切にしてきました。皆が大事につないだボールでトライする。それは、「人をつなぐ。未来をつなぐ。」に通じる部分があるように思います。信託銀行では社会やお客さまに対して多様な商品、サービスをご提供しておりますが、前線に立つ営業やファンドマネージャーだけでなく、バックの事務やリスク管理の担当者が複雑なプロセスに高い専門性で応え頑張って支えているからできるわけです。そうしたチームの力、組織の力を未来につないでいくことも大変重要だと思っています。

――まさに全社一丸となって、ですね。それでは、新しいコーポレートメッセージを踏まえて、今後、社会やお客さまに対して、どのような価値を提供していきたいですか?

窪田

弊社は100年企業ですが、ずっと同じビジネスをしてきたわけではありません。変化する時代のニーズに合わせ、弊社が提供する商品やサービスも変わってきています。そうした中では、常に変化を先取りしながら社会やお客さまのご期待にしっかり応えていくことが大切だと考えています。最近も、ブロックチェーン技術を活用して不動産の持ち分をデジタル証券化し小口の不動産投資を可能にした「不動産セキュリティ・トークン」を共同発行したり、国内初となる運用益による給付型奨学金ファンドの組成準備を進めたりしています。奨学金ファンドの企画により、2024年には一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)が主催するサステナブルファイナンス大賞の優秀賞を受賞しました。

――まさに、多種多様な価値を、継続的に提供されているわけですね。そうした対応を可能にする貴社の強みは、どんなところにあるのでしょう?

窪田

弊社は銀行業務だけでなく、相続、不動産、証券代行、資産運用・管理など幅広い業務を取り扱っています。グローバルでも資産運用、資産管理に加え、2024年には企業年金、証券代行業務も有する豪州企業を買収しました。さらに、社員一人ひとりがプロフェッショナルとしての強い自覚を持ち、目の前の業務に真摯に向き合うだけでなく、現状に満足せず、創意工夫しながら自分の専門性を高めていく努力を欠かさない。こうした向上心を持った専門家集団こそ、弊社の大きな強みです。「専門性を高める」と言うと、自分の専門領域をただ深掘りしていくだけのイメージがあります。それももちろん大切ですが、対象を縦方向のみならず横にも広げ、さらにそこも深く掘っていく、すなわち自分の専門領域の「深化」と関連領域の「探索」の両方をやることで専門性を飛躍的に上げていく、これが重要です。

――プロ意識の強い、向上心を持った専門家集団。心強いですね。さて、2017年に金融庁が「顧客本位の業務運営に関する原則」というガイドラインを公表し、近年は金融機関、利用者双方で「Fiduciary Duty(受託者責任)」が意識されるようになっています。「お客さまから信頼され続ける存在であることが重要」というお話をされていますが、貴社のFiduciary Dutyへの取り組みについても、お聞かせください。

窪田

弊社は信託銀行として「お客さまから大切な財産や想いを託される存在」ということもあり、金融庁がガイドラインを策定するかなり前から、Fiduciary Dutyに取り組んできました。「三菱UFJ信託銀行のFiduciary Duty」として①「人」としての力・人間性、②専門性・プロフェッショナリズム、③お客さまの最適・最善のために行動する力――の3項目を定め、全役職員にこれらを最優先事項とし、常にFiduciary Dutyの精神に基づいて業務を遂行することを徹底しています。これも弊社の大きな強みであり、Fiduciary Dutyに地道に取り組んでいくことが、お客さまからの信頼獲得につながっていきます。

――「三菱UFJ信託銀行のFiduciary Duty」の3項目の中にも、専門性・プロフェッショナルという言葉が入っているのですね。

窪田

その通りです。専門性ともう1つ、時代を先取りする「先進性」も今の弊社にとって重要なキーワードになると考えており、変化をいち早く読み、懸念される社会課題を弊社の高度なビジネススキームを使って解決して世の中のお役に立ち、さらに、人と社会の想いをしっかり未来につないでいきたいです。弊社が目指しているのは、ひと味違う「進化を続ける専門家集団」です。個々の役職員が自分の専門性をブラッシュアップし続けることで、社会やお客さまの期待を大きく超える商品やサービスを創出していく。そんな近未来図を思い描いています。

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