年金信託契約
信託銀行が企業または団体が実施する年金制度の管理運営を引き受けることを目的として締結する信託契約をいう。その仕組みと特徴は次のとおり。
- (1)厚生年金基金信託契約
【仕組み】
- (a)信託契約の関係者=委託者:厚生年金基金、受託者:信託銀行、受益者:厚生年金基金(自益信託)。
- (b)契約の形態=単独運用指定金銭信託(ただし、包括信託とすることも可能)。
- (c)信託期間=期限の定めはない(契約が解除されるまで)。
- (a)自益信託=法律に基づいて設立された特別法人として、基金が年金制度を運営する。基金と信託銀行が締結する運用に関する信託契約は、基金が自己を受益者とするものであるとされている。
- (b)混合契約=年金資産の管理・運用を引き受ける狭義の信託契約と、委託者の受託者に対する継続的な掛金拠出義務を定めた債権契約との混合契約となっている。さらに事務委託のため、業務委託契約が締結される。
- (2)確定給付企業年金信託契約(規約型)
【仕組み】
- (a)信託関係者=委託者:企業または団体。受託者:信託銀行。受益者:加入者および受給権者等。信託管理人:受益者が不特定または未存在であることから受益者保護のために置かれる。
- (b)契約の形態=単独運用指定包括信託(個別契約)。
- (c)信託期間=期限の定めはない(契約が解除されるまで)。
- (a)他益信託。
- (b)年金資産の管理・運用を引き受ける信託契約(狭義の信託契約)。(参考)年金信託契約とは別に事務委託契約たる業務委託契約が締結される。
- (3)確定給付企業年金信託契約(基金型)
【仕組み】
- (a)信託関係者=委託者:企業年金基金。受託者:信託銀行。受益者:企業年金基金(自益信託)。
- (b)契約の形態=単独運用指定包括信託(個別契約)。
- (c)信託期間=期限の定めはない(契約が解除されるまで)。
- (a)自益信託。厚生年金基金と同じ。
- (b)年金資産の管理・運用を引き受ける信託契約(狭義の信託契約)。なお、年金信託契約とは別に事務委託契約たる業務委託契約が締結される。