SUSTAINABLE
ACTIONS

事業貢献・取り組み事例
[ サステナアクション ]

社会課題

加速する少子高齢化問題。
公的年金だけでは、
豊かな老後のための資金が足りない。



THINK

THINK三菱UFJ信託銀行が
考えたこと

  • 長引く低金利の中、貯蓄だけでなく投資による資産形成を支援することで、豊かな老後資金を確保できる社会を目指す。
  • 中長期的な観点では、若い世代から投資の文化を根付かせることが必要。既存の投資教育という考え方をリセットしてゼロから新たな取り組みを発想する。
  • 将来形成される資産や必要な資金を見える化することが重要。

ACTION三菱UFJ信託銀行が
実現すること

  • MUFG資産形成研究所を通じて、世の中を動かす情報をわかりやすく発信。
  • 資産形成を見える化するツール「D-Canvas」を開発。
  • 若い世代に向けて投資思考を啓蒙していく「104(投資)コンソーシアム」をスタート。

DISCUSSING
SUSTAINABILITY

国際社会経済研究所理事長/藤沢  久美

国際社会経済研究所
理事長/藤沢 久美

It's my サステナ活動
社会を良くする
プロジェクトに
寄付しています。
MUFG資産形成研究所長日下部 朋久

MUFG資産形成研究所長
日下部 朋久

It's my サステナ活動
インパクト投資ファンド

積み立てること。
資産形成推進部馬場 あかり

資産形成推進部
馬場 あかり

It's my サステナ活動
社会課題を意識して
「ふるさと納税」を
しています。

安心・豊かな未来のために
ひとりひとりの資産形成を
後押しする。

投資行動を通じて、
より良い社会を創っていく。

日下部:MUFG資産形成研究所長の日下部です。今日は、よろしくお願いします。当研究所では、資産形成に関する調査や研究を行い、発信していくことで、資産形成が世の中に広まるような活動をしています。

馬場:企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)を企業さまにご提案して、それをサポートしていく部署に所属しています。去年「D-Canvas」という企業型DCの加入者さま向けアプリをリリースしたのですが、今は、その開発プロモーションのメンバーのひとりとして業務を行っています。

藤沢:私は、三菱UFJ信託銀行さんとの関係で言うと、資産形成研究所の活動にいろいろなアドバイスをしたり、シンポジウムのコーディネーターをしたりしています。あと「104(投資)コンソーシアム」という若い世代を中心に投資思考を世の中に根付かせていこうというプロジェクトを一緒にやらせていただいています。

日下部:今日のお話の大きなテーマがサステナビリティということですが、やっぱり金融機関として気になるのは、サステナブルな意識の高まりが投資活動に結びついているのかという点です。

藤沢:今の言葉では「インパクト投資」。昔の言葉で言えば「社会的責任投資(SRI)」ですが、こうした社会的な意義のある投資というのは、常に若い人に刺さるんですよね。もう20年間くらい大学で投資信託の授業をやっているのですが、昔からみんな投資というと危ないイメージがあると言うんです。でも、社会を変えていく投資の話をすると、だんだん目がキラキラしてくるんですよ。若い人にとっては、自分たちが未来を創っていけると思うと、すごくワクワクするんだろうな、って。

日下部:その動きは、ここ数年、さらに強くなっているのは感じますね。

藤沢:ミレニアル世代とかよくいわれる、そういうネット世代の人たちは社会に関わっていくことにすごく興味があると感じます。

日下部:馬場さんは、まさにネット世代に近いと思うんだけれど。

馬場:そうですね、実は私も、自分の確定拠出年金口座で一部はESGやインパクト投資関連のものに投資をしています。若い世代の人たちというのは、単純に自分の将来のことをだけを考えている訳ではなく、どんどん少子高齢化が進んでいくとか、地球環境の破壊が進むとか言われる中で、なんとなく未来の社会に対する不安を抱えている人が多いと思うんです。そんな未来を自分の投資行動を通じて変えていける可能性や、何か良いものに貢献できるという社会との繋がり方に共感しているのかなと思います。

未来と今をつなげるツール「D-canvas」

日下部:先ほどネット世代という言葉も出ましたが、資産形成を啓蒙していくには、馬場さんが担当している「D-Canvas」のようなデジタルツールも大切になると思っています。

藤沢:アプリというとスマホで使用するイメージですか。

馬場:そうですね。スマホだとワンタッチで起動し生体認証でログインができます。Webサイトだと、ユーザーIDやパスワードの都度入力が必要になるので、それが面倒だという声もありました。D-Canvasはアプリを起動するだけで、簡単に今の資産状況や将来の予測残高も見ることができるので、
今、自分が運用しているお金が、将来これくらいになるなというのがすぐにわかるんです。

日下部:このアプリなかなか良くできていましてね、将来の予測残高がピュッと出てくるんですね。

藤沢:これを開発するの、すごく苦労したんじゃないですか?金融機関の場合、免責注意事項を記載する必要があったりとか、すごい文章が長くなってしまったり、ご苦労があったんじゃないかと。

馬場:法律の観点で書けること書けないこと、それから絶対に書かなきゃいけないことといった制約はあります。それでも、パッと見てシンプルでわかりやすい印象を持たれるようにデザインや直感的な導線にこだわりました。たとえば、細かい文言や説明はボタンを押すとポップアップ形式で出てくるようにするなど、拒否反応が出ない形にするのに苦労しながら、作り込みました。

藤沢:上司とかコンプラ部署との戦いはなかったんですか?

馬場:戦いはありました。このアプリを活用して、ストレスなく運用していただくために、自分で簡単に手続きできる機能を提供するだけでなく、運用初心者の方には、ある程度こういったものがありますよとご提案をしてあげた方が選びやすいですし、安心もできると思っています。ただ、それが商品の推奨に当たらないようにしなければならないというところで結構苦労しました。

藤沢:結果として、現場の想いが形になったわけですから、上司の方々も心が広いんですね。

日下部:いやいや本当に。でも、それだけ会社としても力の入ったプロジェクトということだと思います。社会課題を解決していくために何ができるのか、そこに対する強い想いというのは、我々の企業文化としてしっかりと根付いている部分なので。私の思いとしては「D-Canvas」自体をどんどん発展的に、サービスを広げていくという方向を考えていきたいですね。

藤沢:究極は、貯めるのも増やすのも買うのも使うのも、全部、手のひらの中でできるようになるんだろうと思っています。なので、この「D-Canvas」を通じて、もっと使うことも、もっと増やすことも、あと資産管理も、全部やれるっていうのも一つの未来像かなと思いますね。特にお金って、若いうちはなんとなく貯めとかなきゃとか、増やさなきゃとか思うけど、やりたいことが見えてくると使いたいものが見えてきます。そうすると、じゃ、留学したいと思ったらいくらいるんだとか、家を建てるならいくらいるんだとか、何かやりたいことができたときにどのくらいお金を必要で、それをいつからどういうふうに貯めておけばいいかとか、何かそういうことをアドバイスする機能みたいなものがあれば面白いですね。

馬場:このアプリの面白いところは、未来と今がつながって見える化されるところだと思っています。このまま好調な運用を続けていくと私がリタイアする頃には、1億円以上の金額になるという可能性を数字で見せられると、やっぱり意識が変わります。

日下部:そういう誰かの成功体験が聞こえてきたりすると、じゃあ自分も始めてみようかという相乗効果にもなりますしね。

藤沢:私はPayPay投資をやっていて、PayPayのポイントが自動的に運用にまわるんですけど、運用成績が出るページにSNSに出すというボタンがあるので、すごく増えていたりすると嬉しくてツイッターに出す人がいるのだと思うのです。企業の宣伝より、身近な人の体験を参考にする人は多いと思います。

「投資教育」より「投資思考」が
社会を変える。

藤沢:私自身は金融経済教育に20年以上取り組んできましたが、ほとんど個人金融資産に占める投資の割合が増えていません。つまり金融業界が発信していた「投資教育」なるものは、何かがずれているじゃないかと思うのです。投資とはこういうものですと教えるのではなく、皆さんが興味のあること、考えたくなるところから始めなきゃいけない。つまり大切なのは「投資教育」ではなく「投資思考」なんじゃないかと。

日下部:確かにそれは実感しますね。「思考」つまり、考え方が変わらないとなかなか世の中は変わっていきません。今、研究所として公表に向けて準備しているのが老後の「金融資産取り崩し戦略」という考え方です。実態としては、お金はあるのに、年金の範囲でなるべく使わないように我慢して生活するというケースが多いんですよ。今ある資産を有効に使って、豊かな老後を送りましょう、そのためのリスク管理はこういう方法があります、という提案をしていこうと思っています。

馬場:確かに老後の資金はいくら必要で、年金だけではいくら足りませんと言われると不安になる一方ですよね。

藤沢:多分、それは平均値の罠なんですよ。平均で語るのをやめるべきだと思っています。今、医療の世界でも、個別化医療という考えのもと、遺伝子を分析したりして、その人に合った治療法というのが提案できる時代。金融の世界も、本当はそれができるはずなんです。東京に住むのか、私の実家がある奈良に住むのかでも、全然物価も違うわけだし。あと保険や家、土地、子供の数とか、いろいろな前提条件が、実はみんなバラバラなのに、平均値だけが世の中を流れていくことで、余計に人を不安にさせるんです。先ほどのアプリも自分の将来が見えるわけじゃないですか。やっぱり個別に自分の場合はどうなのかということを、見える化することが大切だと思いますね。

馬場:そうですね、アプリだとひとりひとりに端末があって、そこにプッシュ通知などでメッセージを届けることができるので、個別化対応が可能です。例えば、AIを使ってその人の属性や他のデータと一緒に解析をして、どういう特徴の人はどういうことに困っていて、どういうことに関心がありそうだから、プッシュ通知を使って当社にできる解決案を提示してみよう、といったことにも挑戦中です。

日下部:やはり若いうちから、投資思考を身につけて、単純にお金を増やせばいいという話ではなく、自分の夢や目標に対していくら必要だから、いつまでにどう資産形成をしていくんだとか。未来に対してこういう想いがあるから、ここに投資するんだとか、考えて行動する人が増えていくと結果として社会が変わることにつながると信じています。そのような視点の調査研究や情報発信のツールとして「D-Canvas」のようなアプリが、個別にコミュニケーションが取れるようなプラットフォームに育っていくと面白いと思っています。

藤沢:私は今回、「104コンソーシアム」が立ち上がったことに本当に感謝しています。投資教育について、ずっと問題意識を持っていますし、そもそも日本に投資思考がないということが、あらゆる問題の要因になっていると思っています。例えば、これは個人の資産形成という話だけでなく、国の施策においても、投資思考がない中で補助金や交付金を出してしまうと、そのお金は、水が地面に吸収されるように消えてしまいます。本来、お金を使うというのは、お金を使うことによって何かプラスが生まれてくるはずなんです。日常生活でモノを買うことも、全部投資だと思っていまして、仮にどのマヨネーズを買いますか?というシーンでも、その人の意思とか価値観がそこに反映されます。例えば、夫がメタボだからヘルシーなマヨネーズを買おうとか、そこには夫に対して健康で長く生きてほしいという思いがある。いちばん安いものを買いますというのも、そのお金を浮かせて何かを別のことに使うのかもしれません。つまり、すべて「お金を手から離すこと」は投資であり、未来を考える行為とセットでなくてはいけないって思っています。こういう投資思考という考え方を広げるために、自社の宣伝や短期的な利益とは関係のないところで、信託4行によって「104コンソーシアム」がスタートしたことは、日本の歴史上快挙だと思っています。

日下部:そういっていただけるととても嬉しいですね。「D-Canvas」もそうですが、この「104コンソーシアム」のような活動も、まさに社会課題解決型のプロジェクトだと思います。先ほどの投資思考の話にも通じるものがありますが、この活動に金融機関以外の一般の事業会社にも参加いただいたのは、これまでの投資教育とは違う新しい取り組みが必要で、投資思考を世の中に広げていくことが、より良い社会につながっていくんだと考えたからなんです。

藤沢:「104コンソーシアム」の活動では、この何十年やってきた投資教育に対して、新しいお手本を見せてくださったと思うので、これを20代にもっと広げていきたいし、そういう思考が広がっていき、国や自治体の無駄遣いがなくなったり、社会が変わるところまで波及していくことを期待しています。資産形成する人が増えるだけでなく、国や企業が強くなるというのがものすごく大事だと思うのです。

馬場:藤沢さんのお話を聞いて、私たちの取り組みが、人の未来を支えるだけでなく、より良い社会の実現につながっていくことを改めて実感することができました。

聞き手/執筆 伊田 光寛
(ブランドコミュニケーションデザイナー)

2022年8月4日現在