コラムVol.206 マネーライターの取材裏話――マネー誌に書かなかったこと&書けなかったこと 5年連続アップの「夏のボーナス」、何に預けるのが正解?

2026年7月10日
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森田 聡子 (もりた としこ)
早稲田大学政治経済学部卒業後、地方紙勤務を経て日経ホーム出版社、日経BPにて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は書籍や雑誌、ウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に対し、難しい投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく「書く」(=ライティング)、「見せる」(=編集)ことをモットーに活動している。著書に『節税のツボとドツボ』(日経BP)、編集協力に『マンガ 定年後入門』(日本経済新聞出版社)、『教科書には書いてない 相続のイロハ』(日経BP)。

上場企業の平均値は初めて100万円超え

夏のボーナスシーズンです。好調な企業業績を背景に、ボーナスについても景気のいい話が聞こえてきます。

日本経済新聞社の2026年夏のボーナス調査(中間集計)では、上場企業151社の平均支給額(加重平均)が5年連続増加して104万6931円に上り、初めて100万円の大台を突破しました。国家公務員(管理職と非常勤を除く一般行政職)の平均支給額も前年比5.6%増の74万6100円となっています。

夏の旅行や自分へのご褒美、趣味や“推し活”、スキルアップ、家電・電子機器の買い替え、賃貸契約の更新・引っ越し費用など、皆さんがそれぞれの使途を想定していらっしゃることと思います。NISA(少額投資非課税制度)を利用されている方なら、つみたて投資枠のボーナス設定による増額や、成長投資枠を使ったスポット投資を検討中かもしれません。

一方で、「当面使わないお金は、どんな金融商品に預けておくのがいいの?」といったお悩みをお持ちの方もいることでしょう。そこで今回は、金利に先高観がある今の、ボーナスのお得な活用法について考えてみたいと思います。

定期預金の金利が上がってきている

住宅資金や結婚資金、教育資金、留学資金など何年か先に確実に使うことが分かっているお金の預け先としては、確定利付き商品が挙げられます。

代表的なものが金融機関の定期預金や金銭信託、国債などです。いずれも安全性が高く、金融資産の主たる運用先がNISAのオルカン(「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」)やS&P(「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」)という若手ビジネスパーソンにとっては、預け先分散という意味でも悪くない選択肢と言えそうです。

少し前まで「スズメの涙」と揶揄されていた預金金利は、24年のゼロ金利解除以降、着実に上がってきています。金利の高いネット銀行などの定期預金で利息を取りにいくのも1つの方法でしょう。特にボーナスシーズンは多くの金融機関でキャンペーンが行われ、金利上乗せなどのお得な特典が用意されていて狙い目です。

ただし、金融機関によっては破格の高金利を謳っていても、よくよく見れば「当初3カ月限定、その後はスーパー定期1カ月物の金利が適用されます」といった注意書きが付いていたりするので、ご注意ください。外貨預金や投資信託との“セット売り”も見た目の金利は高めですが、相場動向によってはセット商品の下落で金利分など軽く吹き飛んでしまう可能性もないとは言えません。

現在のような金利上昇局面では6カ月物、1年物など期間の短い定期預金を選んでおき、満期時に金利状況を見ながら再度預け先を検討するのがお勧めです。

金利上昇で人気の国債はどれを選ぶ?

「金利のある時代」の預け先として人気を博しているのが日本国債です。

個人が購入可能な国債には、固定金利で期間が2年・5年・10年から選べる「新窓販国債」(購入は5万円以上5万円単位)と、固定金利3年・5年と変動金利10年の3種類の「個人向け国債」(同1万円以上1万円単位)があります。

特に、1年保有すれば解約時も実質的に元本割れしないなど個人が投資しやすい商品設計の個人向け国債は、利回りが過去最高を更新し、発行額はマイナス金利解除前を大きく上回る水準で推移しています。近年はネット取引が可能な金融機関も増え、購入しやすくなりました。

国債は半年に1度利払いが行われますが、個人向け国債10年物はその時々の金利状況が反映される変動金利で、今のような金利上昇局面の運用に適した商品と言えます。ただし、満期が同じ新窓販国債10年物とくらべると、利回りは66%に抑えられています。運用の目的が「長期にわたって安全に高金利を享受する」ことなら、金利のピークを見計らって新窓販国債10年物に預入れる方がいいかもしれません。

ただし国債の場合、金利は定期預金より高めでも利払い方式のため、定期預金のような複利運用はできません。流動性も、いつでも解約できる定期預金ほどではありませんから、その点は注意が必要です。

なお、個人向け国債も金融機関によっては夏のボーナスシーズンに購入キャンペーンが実施され、現金やギフトカードなどのプレゼントがあります。どこで購入しても利率は同じですから、こうしたキャンペーンをうまく活用するといいでしょう。

住宅ローン返済中の人は繰り上げ返済も視野に

住宅ローンを返済中の家庭なら、ボーナスを活用した繰り上げ返済も一考の価値がありそうです。特に変動金利ローンを借りている人や、固定金利期間選択型ローンの利用者で間もなく固定金利期間が終了する人は、この先適用金利が上昇する可能性大です。繰り上げ返済をすることで相対的に低い現行金利での返済分が多くなり、総返済額を圧縮する効果が期待できます。

近年は物件価格や施工費の上昇を受け、期間50年のローンが登場するなど借り入れ期間が長期化しています。完済予定が70歳を超えている人はできるだけリタイア後に返済が残らないように、地道に繰り上げ返済をしておきたいところです。

家計のバッファーにして“NISA貧乏”から脱却

ビジネスパーソンの実質的な購買力を示す実質賃金(名目賃金から物価上昇の影響を除いたもの)は26年1月以降プラスに転じていますが、値上げラッシュが止まらず、多くの日本人は未だに「賃上げが物価上昇に追い付いていない」と感じているようです。

そうした中で、取材先のお金の専門家が勧めていたのがボーナスの一部を家賃や生活費の値上がりに備えてキープしておくこと。つまり、家計のバッファーとしての活用です。今はキャッシングもスマートフォン1つで手軽にできて便利ですが、それなりの利息も取られます。

国会でも“NISA貧乏”が話題になりましたが、可処分所得を投資に全振りして窮乏生活を強いられている人は少なくないようです。今のようなインフレ、かつ不確実な時代こそ家計にバッファーを持たせておくことが大切。それは、精神的なゆとりや、いざという時の冷静な判断力につながります。

ボーナスの語源はラテン語の「bonus(ボヌス)」で、ボヌス・エヴェントスというローマ神話の成功と収穫の女神に由来するようです。「いつの間にかなくなっていた」ではなく、振り返って「あのお金があって良かった!」と思えるようなサクセスフルな活用法を選んでいただきたいと思います。

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