コラムVol.46 人生100年時代:健康への漠たる不安を健康管理やよい習慣化へ

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佐貫 総一郎 (さぬき そういちろう)
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、2級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格)・産業カウンセラー。1981年、慶應義塾大学経済学部卒後、三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入社。個人財務相談、事務要員の算定、証券、年金、相続などのさまざまな業務を経験、支店次長、財形事務センター長などとしてマネジメント業務にも携わったのち、ライフプランセミナー講師を務めた。三菱UFJ信託銀行を退職後、オール・アセット・アンカー(株)を設立。ライフプラン・マネープラン・キャリアプランなどの支援や働き方改革の関連などでの執筆・セミナーなどで活動中。著書に『現場からはじめる働き方改革』(共著)(2019年3月発刊・金融財政事情研究会)がある。

長生きリスクへの漠たる不安

「長生きはリスクだ」という人も少なくありません。「長生きすれば、病気になる確率が上がる」「それだけお金がかかる」といったマイナス面に目が行きがちです。例えば、日本人の死因のNo.1であるがんの罹患は年間で100万人に届く水準になり、「がんに罹患する人は2人に1人」「高齢になるほど罹患率は上がる」「がんによる死亡数・罹患数の増加の主な要因は高齢化」と言われれば、不安にもなります。ただ、皆さんが持つ不安の中には、誤解や過剰反応もあるかもしれません。冷静な情報の受け止め方や状況整理などを行う心構えが必要でしょう。今回は、健康に関連する不安について少し考えてみます。

「がん」の罹患

がんの年齢帯ごとの罹患数を比較すると年齢を重ねるほど罹患率が上がることも事実です。以下を見ると、新たながんの診断をされる例が、「人口10万対○○」で表記されており、高齢になれば、年間1〜4%ということになります。
ただ、がん検診の浸透などもあり早期発見により罹患数が増加している面もあるようです。罹患率の増加に対して、死亡率は低下傾向であることが早期発見の増加を物語るともいわれます。

【年齢階層別罹患率(上皮内がんを除く全部位)】(人口10万に対する診断例数)
年齢階層別罹患率(上皮内がんを除く全部位)
  • 数値は、厚生労働省「全国がん罹患数2016年速報」より一部年齢帯を抜粋
  • 罹患数は延べ人数(2種類以上のがんの発見はそれぞれを独立して数える:診断例数)

早期発見・部位別の罹患数などを意識

罹患は新たながんの診断であり治療など対処へのスタートです。ステージ(がんの広がりや転移の程度による区分で0〜Wに区分)が軽いほど生存率も当然高くなります。国立がんセンターによると、「2008-2009年の5年相対生存率」は65.8%ですが、診断時にステージTならば、前立腺や乳房(女性)などのように100%に近い罹患部位もあるようです。3大療法である手術療法・化学(薬物)療法・放射線療法の進化だけでなく、免疫療法も加わりよりよい治療の選択幅も広がっています。生存年数が伸びていることで、5年生存率よりもこれからは10年生存率を注視する方向にもなるようです。万一の場合も念頭に早期発見となるような行動と心がけが大事です。

  • 相対生存率は、がんに罹患していない人との生存率の違いを百分率(%)で表したもの

さらに、男女の違いや年齢を重ねるにしたがっての罹患部位の構成も変化することなども再確認しておくといいでしょう。

【がんの罹患数の部位別順位等】
がんの罹患数の部位別順位等

年齢別の死因数

下の表は、特定の年齢での「死因別死亡確率」です。「死因別死亡確率」とは、ある年齢の者が将来どの死因で死亡するのかというものです。

【平成29年死因別死亡確率(主要死因)】
平成29年死因別死亡確率(主要死因)
  • 数値は、厚生労働省「29年簡易生命表」データより

これを見ると、主要原因が「がん」は若いほど高く、若い時には進行も早い点も含め早期発見が重要であることを改めて感じさせられます。また、年齢が高くなると「がん」での死亡率は低くなっていますが、心疾患・脳血管疾患は同程度の死亡率で推移していることも考えると、遺伝以外の生活習慣病の原因といわれる、不規則な生活・食生活の乱れ、ストレス、飲酒・喫煙といったもののコントロールをいかに継続的に行えるかという課題を改めて考えさせられます。

漠たる不安の軽減

健康面での不安を軽減するために考えられることがいくつかあるのではないでしょうか。
一つめは、知識や情報を持つことです。特に、上記のがんなどのように命に係わる疾患については予備知識や情報へのアンテナも持てるといいでしょう。前述のがんの療法などの知識です。
二つめは、健康のための習慣、食事・運動・禁煙など生活習慣の改善です。また、さまざまな健康法もあります。自身に合った継続できるものを取捨選択し習慣化したいところです。
三つめは、定期チェックです。定期的な健康診断はもちろんですが、自分の身体の状態を日々セルフチェックすることも必要でしょう。自分にとって健康な体の状態がどんな状況かのイメージも持ち、そことの乖離の発生に早く気が付くことも大事です。
もうひとつ必要なものとして、万一の際を考えた貯蓄・医療保険といった金銭面の備えです。とりあえず、「安心を買う」という感覚で保険に加入している方も少なくないでしょう。公的な制度(健康保険の高額療養費の制度・障害年金)なども再確認のうえ、保険の必要性やマネープラン(生涯家計設計)の視点から、貯蓄か保険かの選択、保険のカバー範囲などの検討・見直しも必要でしょう。
いずれにせよ、不安を生活習慣の改善や健康法の習慣化に置き換えられるといいでしょう。よい習慣ができることが、心の持ち様にも影響を与えるのではないでしょうか。前述の「2人に1人ががんになる」と言われて、「2人に1人は生涯がんにならないということですよね。念のため、そのための努力や備えをしています。」と言えるような心持ちになるといいでしょう。

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