オフィス移転は
企業の成長に
かかわる一大事!
オフィス移転の流れとかかる費用を解説

コロナ禍を機に急拡大したリモート勤務ですが、ここ最近は出社とリモートのハイブリッド型の勤務も定着傾向にあります。また、「働き方改革」の掲げる多様化する勤務形態への対応ほか、社員のエンゲージメント向上、採用強化やリテンションマネジメント(従業員定着施策)といった「人的資本経営」の発想でオフィス移転やリニューアルを検討する企業が増えています。
この記事では、「オフィスを移転したいが何から始めればいいかわからない」といったお客さまに向けて、オフィス移転の流れや費用、専門業者の種類、業者選びのポイント等役立つ情報を紹介します。
オフィス移転を成功に
導くポイントは?
オフィス移転を検討するに当たって大切なことは、移転計画や物件探しを具体化させる前に「移転の目的」を明確にすることです。
オフィス移転の目的を明確にする
オフィス移転は単なる引越しではありません。ネガティブな理由でもポジティブな理由でも、企業の成長戦略に関係する重要な決断になります。まずはオフィス移転の目的を明確にして、経営陣と担当部署が共通認識を持つことが重要です。
オフィスを移転する目的は、「拡張」「縮小」「拠点集約」「拠点(分室)新設」「立地改善」「ビルグレードアップ」「BCP(事業継続計画)対応」等企業によって異なります。さらに、移転目的の背景には、「人員増加」「業容拡大」「エンゲージメント向上」「採用強化」「離職率低下(退職者減少)」といった動機や企業が抱える課題があります。オフィス移転の目的を明確にする際に、こういった背景にある動機や課題との整合性もよく確認する必要があります。また、新たなオフィスに求める条件が複数ある場合は、目的に沿った優先順位も考えておくと最終的な着地点にズレが生じにくくなります。
「人的資本経営」や「環境対応」の視点で移転を考える企業も!
コロナ禍以降のオフィス移転というと「面積の縮小」や「コスト削減」等ネガティブな面ばかり思い浮かべる人もいるかもしれません。しかし、最近の移転事例のなかにはポジティブな動機でオフィス移転を考える企業が多くみられます。
近年注目されている人的資本経営の視点から、社員のコミュニケーション促進や優秀な人材採用を目的に「出社したくなるオフィス」を目指す本社移転も増えています。例を挙げると、賃料が高くても立地改善やビルグレードアップのために移転する、あるいは、移転を機にコミュニケーションスペースや会議スペースの増設、カフェテリア設置等、多様性のあるオフィス空間を整備する企業もあります。
オフィス移転で社員のストレスを軽減できる可能性もあります。例えば「利便性の高い都心のオフィス」や「洗練されたオフィス」「眺望のよいオフィス」への移転はエンゲージメント向上やモチベーション向上に貢献します。通勤がしやすい、大手企業も多いビジネス街、レストランが充実している等の魅力を持った立地にオフィスがあれば満足度がアップする可能性があります。
そのため、交通利便性のいい「駅近」や「雨に濡れない(アンブレラフリー)」「複数路線利用可能」「商業エリア隣接」といったオフィスの立地を重要視する移転、また「カフェ、ラウンジ、会議室、食堂」等福利厚生施設を充実させ働き方改革を推進するための移転もあります。
さらに、持続可能な社会を意識した企業においては、RE100※にコミットするため再生可能エネルギーによって賄われているビルへの移転を希望するケースも増えつつあります。ビルオーナーも環境認証を取得する等わかりやすく環境対応をアピールしています。
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RE100…Renewable Energy 100%の略称。企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ
オフィス移転の流れと
発生する作業
ここからはオフィス移転の大まかなスケジュールと発生する作業について解説します。
検討開始から完了までの
タスクは膨大!
オフィス移転を検討し始めてから全てを完了するまでには膨大なタスクが発生します。オフィス移転の流れを整理すると、「方針検討フェーズ」「物件選定フェーズ」「移転実行フェーズ」の3つのフェーズに分類できます。移転後面積1,000坪以上の規模を想定した移転スケジュールの場合、どのような流れになるのか、3つのフェーズそれぞれに分けて紹介します。
方針検討フェーズ
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1.
現状の課題の把握
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2.
解決策の検討
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3.
基本方針の決定
各担当部署が連携し移転検討に係る基本方針を決定
物件選定フェーズ
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4.
立地・規模・時期・予算(賃料)の希望条件の検討
基本方針に基づき物的条件を担当部署(総務部など)が検討 -
5.
抽出された希望条件に見合うビルから具体的に検討したいビルを選定
判断材料となるビル間の比較も実施 -
6.
選定したビルの実査(内覧)により契約に向け交渉するビルを決定
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7.
条件交渉・物件決定
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8.
賃貸借契約締結
移転実行フェーズ
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9.
新オフィスの詳細要件整理
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10.
オフィスの基本計画
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11.
基本設計/詳細設計
詳細レイアウト決定や各関係部署との調整 -
12.
費用と工事会社決定
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13.
入居工事
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14.
引越し作業
オフィス移転が完了するまでの流れを簡単に紹介しましたがかなり大がかりなプロジェクトになることがわかります。実際、オフィスの移転には約1〜2年の期間を要するといわれています。
オフィス移転時には
多岐にわたる作業が発生
オフィス移転を成功させるには、前もってどのような作業や手続きが発生するのかを把握しておくと効率的に進められます。移転先のオフィスに関する作業のほかに、現オフィスに関する手続きや原状回復工事等も手配しなければなりません。
新オフィスに関する作業
移転の流れを見てもわかる通り、基本方針の決定からビルの選定、条件交渉、賃貸借契約締結、新オフィスのレイアウト決定や各関係部署との調整、内装工事の発注、オフィス家具の選定と発注、引越し業者の選定と依頼等数え切れないほどの作業があります。事前に自社のみで担当する作業、外部業者に依頼して行う作業を整理して、漏れがないように進めることが大切です。オフィス移転が完了した後は、移転の目的は達成できたのか、社員の満足度は上がったのか等効果を検証する作業も必要です。
現オフィスに関する作業
オフィスを移転する際、現在の貸主に事前連絡が必要です。普通借家契約では、賃貸借契約に基づき一般的には1年前から6カ月前までの間に更新しないことを伝える「解約通知」を提出します。また、退去する際は床や壁、天井等を入居時の状態に戻す「原状回復工事」を行います。工事を行うにあたり指定業者が決まっているのか、原状回復の範囲はどこまでか等、後々のトラブルを避けるためにも事前に契約書や貸主への確認を実施しましょう。
オフィス移転にかかる
費用
移転先のスペースや移転目的によってかかる費用は異なります。ここでは、一般的にどのような費用が必要になるのかを紹介します。
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新オフィスの契約関連の費用:家賃、敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料等
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新オフィスの構築にかかる費用:内装工事・設備工事費用、什器等の購入費用、ネットワーク機器・電話機・複合機等の移設・設置費用等
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現オフィスの退去関連の費用:原状回復工事費用等
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引越し費用
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その他の諸費用:不用品廃棄にかかる費用等
オフィス移転業者
(パートナー)を選ぶ
ときのポイント
オフィスの移転は企業が単独で進められるものではありません。オフィスの専門家といえる各分野の事業者との連携が欠かせず、移転をスムーズに行うためにはパートナー選びが重要です。
事前準備と
心得ておきたいポイント
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ポイント1.
事前準備として現状の課題と改善策(移転の目的)を確認する
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ポイント2.
目的に沿ったオフィス移転の要件を整理する(予算、移転対象人数、オフィス面積、実施時期、依頼範囲等)
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ポイント3.
豊富な物件情報の紹介が可能か、客観的な賃貸物件の比較表を提供してくれるか
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ポイント4.
依頼先の業者のサポート体制について、どの分野に強いのか?どんな専門家がいるのか?をチェック
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ポイント5.
相談しやすい雰囲気かどうかも
チェック
オフィス移転コンサルタントに依頼する方法も!
オフィス移転に関係する事業者は以下のようにさまざま存在します。
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不動産仲介業者:物件紹介、物件内覧、契約条件交渉、賃貸借契約締結等
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デザイン設計会社:新オフィスのデザイン、設計、工事会社の紹介等
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内装工事業者…新オフィスの内装工事等
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家具、什器メーカー、IT業者…新オフィスの家具や什器、備品の購入、設置、社内システム移行作業等
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引越し業者
オフィス移転は本業の業務と並行して行わなければなりません。全体のスケジュール管理をはじめ、全て自社で進行するのが難しいケースもあります。その場合は、新オフィスのコンセプト策定から物件探し、引越しまで総合的にアドバイスする「オフィス移転コンサルティング」の選択もおすすめです。
三菱UFJ信託銀行では、金融機関で唯一、テナントリーシングの専門部署を設置しており、ワンストップでのオフィス移転のサポートが可能です。大手デベロッパー等と定期的に情報交換を行い、各貸主様から空室・賃料情報やリーシング戦略等のヒアリングを実施しています。首都圏を中心に10,000物件を超える情報を蓄積しており、スピーディーに賃貸物件の比較表を提供できます。また、不動産の売買仲介部署やコンサルティング部署とも連携し、「自社ビルを売って賃借オフィスに移転したい」「自社ビルを買ってオフィスを移転したい」等、MUFGグループの一員として幅広いご要望にも応えられます。
人的資本経営の実現、働き方改革、自社ビル売却、子会社集約といったさまざまな課題に対してノウハウを活用したオフィス賃貸借仲介を行っております。オフィス移転コンサルティングをご希望のお客さまはご相談ください。
まとめ
オフィス移転は着手から完了まで1年以上かかる一大事業です。スムーズに進めるためにはパートナーとなるオフィス移転業者の選定が重要になってきます。より良い業者を選ぶためにも、自社の目的を明確にし、新オフィスの要件や優先事項をしっかり整理することが大切です。
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