コラムVol.210 こどもNISA早わかりガイド〜制度のキホンと3つのポイント〜

2026年10月13日
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小澤 良祐 (おざわ りょうすけ)
京都大学卒、大阪大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式や投資信託を始めさまざまな金融商品を運用する個人投資家、『ZUU online』などで投資の初心者に向けた記事執筆の担当を経て、2023年三菱UFJ信託銀行入社。「長期投資の威力」「家計の見直しから投資までトータルで考える」を普及させることが目標。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。

「子どもの教育費を少しずつ準備したい」「子どもが大人になる頃にまとまった資金を残してあげたい」

そんな家庭にとって、新たな選択肢となるのが2027年にスタートする「こどもNISA」です。この制度では18歳未満でもNISA口座を開設できるようになります。一方で、現行NISAとは異なる制約もあるため、制度の特徴を理解して利用することが大切です。

このコラムでは、こどもNISAの概要や押さえておきたいポイント、活用方法などをご紹介します。

こどもNISAのキホン

そもそもNISAとは、少額投資非課税制度のことで、NISA口座で投資した商品から得られる運用益が非課税になる制度です。現行のNISAではつみたて投資枠と成長投資枠が用意されており、投資対象や年間投資枠などが異なっています。

新しく始まるこどもNISA制度の特徴を一言で表すと、18歳未満でもつみたて投資枠と同様の非課税制度を利用できるようになるというものです(図表1)。

図表1 こどもNISAとつみたて投資枠・成長投資枠との比較表
図表1 こどもNISAとつみたて投資枠・成長投資枠との比較表

つみたて投資枠との共通点、共通しているが内容が異なる制約、こどもNISA特有の制約に分類すると、以下のようになります。

【つみたて投資枠との共通点】
投資方法 積立のみ
投資対象 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託等
(金融庁の基準を満たしたもの)
非課税保有期間 無期限
【つみたて投資枠と共通しているが内容が異なる制約】
年間投資枠 60万円
非課税保有限度額 600万円
【こどもNISA特有の制約】
対象年齢 0〜17歳
払出し制約 あり

押さえておきたいポイント3選

ポイント①:払出し制約

前述のとおり、こどもNISA特有の制約である払出し制約には注意が必要です。こどもNISAでは、例外※1を除き子が18歳※2までは原則払出しができません※3。ただし子が12歳※4以降は、資金の使途が子のためのものであり、かつ子が払出しに同意し、書類を提出した場合に限り、払出しが可能になります※3。言い換えると、子が中学校以降であれば教育費等のために払出すこともできます。2023年までのジュニアNISAでは、18歳未満は原則払出しできなかったため、自由度が上がったと言えますね。ですが現行のNISAのように自由に使える、というものではないので注意してください。

ポイント②:こどもNISAの買付額は、成人後の非課税保有限度額に算入される

子が18歳に到達すると現行NISAのつみたて投資枠に自動的に移行され、こどもNISAにおける保有資産の買付額(簿価)はつみたて投資枠の非課税保有限度額に算入されます。つまり、こどもNISAはつみたて投資枠の一部を先取りして開始できる制度ということです。旧制度のNISA(つみたてNISAなど)は、現行NISAとは別枠で管理されるため現行NISAでの非課税保有限度額の対象外となっていました。こどもNISAも同様と思われた方もいるかもしれませんが、あくまでつみたて投資枠を18歳未満も利用できるようになるものと認識しましょう。

ポイント③:こどもNISAは「子への贈与」になる

こどもNISAの資金は親や祖父母が拠出する(=子本人の収入ではない)ことが一般的になると想定されます。その場合、拠出金は子への贈与になります。贈与を受ける子は、年間110万円※5までであれば贈与税は原則として非課税です。こどもNISAの年間投資枠60万円への拠出だけでこの額を超えることはありませんが、他でも贈与を受けている場合には年間の受贈額を確認しておくと安心です。

長期投資で教育費の準備

こどもNISAは、親のNISA非課税保有限度額を使わずに、教育費や子の成人後のライフイベントのための資金準備を目指した制度になっていることがおわかりいただけたのではないでしょうか。子が小さく長期にわたって運用できる場合は、少額でも積み立てて運用すると将来の進学や新生活の準備に役立つ資金になることが期待できます。子の将来の教育資金として児童手当を貯金している、という話もよく聞きます。たとえば、そのうち5,000円を毎月こどもNISAで積立投資に回したらどうなるでしょうか。

4資産(国内株式、外国株式、国内債券、外国債券)に均等に投資するバランス型の投資信託を念頭に、毎月5,000円の積立投資を18年間行った場合をシミュレーションしてみました(図表2)。5,000通りのシミュレーションでは、多くのケースで元本108万円を上回る結果となり、運用成績が中間となるケースでは約149万円となりました。下振れと上振れの両面を考慮すれば、選択肢として魅力的ではないでしょうか。

図表2 毎月5,000円の積立投資シミュレーション
図表2 毎月5,000円の積立投資シミュレーション

出所:三菱UFJアセットマネジメント「つみたて(積立)投資シミュレーション」より三菱UFJ信託銀行作成

なお、こちらのシミュレーションは、以下の設定条件に基づき、モンテカルロ法により5,000通りの試算を実施したものです。想定リターンと想定リスクは、主要運用会社が公表する長期資本市場予測に基づく概算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。

初期投資額 0万円
毎月の積立額 0.5万円
積立期間 18年
想定リターン(年率) 3.5%
想定リスク(年率) 9.0%

家庭でお金やライフプランを考えるきっかけにも

12歳以降の払出しには本人の同意が必要という仕組みは、家族でお金のことを話し合う一つのきっかけにもなりそうです。進学や将来の夢について話しながら、そのためにどんな準備が必要になるのかを自然に学ぶ機会になります。

また、もし子の年齢が18歳に迫っていたとしても、こどもNISAを通じてお金や投資について学ぶ機会として活用できます。現在の学校教育では金融経済教育が行われるようになり、お金のこと、家計のこと、そして投資のことも学ぶ機会があります。実際に自分名義の口座を持つことで、値動きや積立の仕組みを体験的に学ぶことができます。学校で学ぶ金融経済教育と実体験が結びつくことで、より深い理解につながるでしょう。

こどもNISAは、単なる資産形成制度ではありません。将来のためのお金を準備しながら、家族でお金や人生について考えるきっかけをつくる制度とも言えます。制度の特徴を理解した上で、各家庭に合った活用方法を考えてみてはいかがでしょうか。

こどもNISAのギモン解決Q&A

最後に、こどもNISAについてよくある疑問をQ&A形式でご紹介します。本文でご紹介したことと重複するものもありますので、復習も兼ねて考えてみてください。

こどもNISAは「親の資産」ではなく「子どもの資産」になるのですか?

Answer

はい。こどもNISAに拠出した時点で子への贈与となり、資産の所有者は子になります。親が自由に使うことはできません。

祖父母がお金を出しても利用できますか?

Answer

はい。親だけでなく祖父母などから贈与を受けた資金を活用することも可能です。ただし、他の贈与も含めて年間の受贈額には注意が必要です。

ジュニアNISA※6と何が違うのですか?

Answer

ジュニアNISAとくらべたこどもNISAの特徴は

・資金の使途などの条件を満たせば払出しが12歳以降可能
・非課税保有期間が無期限
・投資対象が長期投資に適した投資信託等に限定

という点で、長期の積立投資による資産形成と、教育費等への資金活用の両面を意識した制度となっています。

途中で払出せますか(引き出せますか)?

Answer

18歳※2までは原則※1払出しができません※3が、12歳※4以降は、教育費など子のための用途に限り、本人同意のもとで払出しが可能です※3。

どんな商品に投資できるのですか?

Answer

投資対象は金融庁の基準を満たした投資信託とETF(上場株式投資信託)のみです。株式やその他の投資信託等は購入できません。

こどもNISAで資産が増えたら、成人後のNISAの枠が減ってしまうのですか?

Answer

非課税保有限度額への算入は評価額ではなく簿価(買付額)ベースで行われます。そのため、運用によって資産が増えた分まで限度額に算入されるわけではありません。たとえば、100万円で買い付けた資産の評価額が150万円になっていた場合でも、非課税保有限度額に算入されるのは100万円です。

  • ※1.災害による家屋の全壊等について税務署長の確認を受けた場合は払出すことができます。
  • ※2.子が1月1日時点で18歳である年に、NISAのつみたて投資枠に移行され払出しも可能となります。
  • ※3.要件を満たさず払出しを行った場合、その払出し時の利益だけではなく、こどもNISA内における過去の譲渡益や配当等の利益についても遡及して課税が行われます。
  • ※4.子が3月31日時点で12歳である年の1月1日以降が対象となります。
  • ※5.暦年課税の基礎控除110万円により非課税となります。
  • ※6.ジュニアNISAは、未成年者を対象とした少額投資非課税制度で、新規口座開設および新規投資は2023年末をもって終了しました。

ご留意事項

  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者および三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
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  • 本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者および三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。