コラムVol.27 「iDeCo」と「つみたてNISA」、その比較と活用法

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目黒 政明 (めぐろ まさあき)
1983年、慶応義塾大学法学部卒業後、大和証券に入社。1987年、独立系FP会社に転職し、FPとしての活動を始める。1992年、MMIライフ&マネープランニングを設立。2002年、個人を対象に幅広くFPサービスを提供する生活設計塾クルーの取締役に就任。2010年、生活設計塾クルー代表取締役。資産運用アドバイスを専門とし、運用相談、新聞・雑誌等での原稿執筆、マネーセミナーの講師などを務めている。

iDeCoとつみたてNISAの違い

2017年1月から、60歳未満の人は原則として全員が確定拠出年金に加入できるようになりました。勤務先で企業型確定拠出年金に加入していて、勤務先が個人型との同時加入を認めていない場合は個人型に加入できませんが、これ以外のケースでは全員が個人型確定拠出年金(愛称iDeCo=イデコ)に加入できます。
2018年1月には、つみたてNISAもスタートしました。
長期の積立という点では、iDeCoとつみたてNISAは類似している制度です。しかし、次のような違いがあります。

①対象者の違い
iDeCoは加入時60歳未満の公的年金加入者が加入できます。60歳以上の人は加入できません。つみたてNISAは20歳以上であれば誰でも利用できるので、60歳以上の人でも利用できます。

②運用期間の違い
iDeCoの掛金拠出(新規の積立)は60歳になるまでと決められています。掛金を拠出した後、最長70歳まで非課税扱いのまま運用を継続できますが、60歳以降は新規の掛金拠出はできません。つみたてNISAは2018年から2037年までの20年間、新規の積立が可能で、積み立てたものは最長20年間非課税扱いで保有を継続できます。

③投資限度額の違い
つみたてNISAでは年間40万円が投資上限額です。2037年までの20年間、毎年40万円まで積立ができるので、最大800万円まで非課税で投資できます。iDeCoの年間の拠出限度額は属性によって異なりますが、国民年金第1号被保険者(自営業者等)を除けば比較的少額です。第1号被保険者は年間81.6万円が拠出限度額ですが、これ以外の人は年間14.4万円〜27.6万円が限度額です。iDeCoの掛金はこの金額を上限として、60歳になるまで拠出できます。たとえば拠出限度額が年間14.4万円の人が30歳でiDeCoに加入したとすると、60歳までの30年間で拠出できる限度額は、14.4万円×30年間=432万円になります。

④投資対象の違い
つみたてNISAでは、一定の要件を満たした株式投資信託とETF(上場投資信託)に投資できます。iDeCoでは、投資信託の他に、つみたてNISAには認められていない定期預金や保険商品も購入できます。

⑤預替(スイッチング)の違い
iDeCoとつみたてNISAは、いずれも積立式に資産を形成する手段ですが、iDeCoでは新規の積立以外に、保有中の商品をタイミングをみて他の商品に預替(スイッチング)することができます。つみたてNISAでは、保有商品の売却は自由ですが、つみたてNISA口座内で他の商品への預替(スイッチング)はできません。

⑥税制優遇の違い
iDeCoとつみたてNISAは、いずれも運用益が非課税になりますが、個人が拠出するiDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税の負担が軽くなるという大きなメリットがあります。つみたてNISAには所得控除のメリットはありません。このため、税制上はiDeCoを優先したほうが基本的に有利です。iDeCoでは、掛金を拠出しただけで、現在適用されている所得税と住民税を合わせた税率分のリターンを得られると考えることができるので、元本確保型の定期預金や保険商品だけで運用してもメリットは大きいといえます。

⑦払出し制限の違い
つみたてNISAには払出し制限がないので、投資した商品はいつでも売却して、現金で受け取ることができます。iDeCoでは他の商品への預替(スイッチング)は自由ですが、原則として60歳になるまで資金を引き出すことはできません。iDeCoはあくまでも老後のための年金という制度であり(一時金で受け取ることも可能)、60歳前のライフイベント(結婚、住宅取得、子どもの教育、耐久消費財の購入など)のために、その資金を使うことはできません。

iDeCoとつみたてNISAの併用がお勧め

老後の資金作りを考える場合は、つみたてNISAより税制上の優遇措置が手厚いiDeCoを優先したほうがよいといえますが、iDeCoでは60歳前に資金を引き出すことができない点をどう考えるかが大事です。
若い世代などで、将来のライフイベントを考慮すると掛金を長期にわたって拠出し続けるのは難しいかもしれないという場合は、現時点ではiDeCoには加入せず、定期預金を使った積立や、つみたてNISAを使った積立投資を優先するという選択肢もあります。

ただし、iDeCoの掛金は毎月定額を拠出する場合は、月5,000円以上1,000円単位で決められ、年1回掛金額の変更もできます。余裕があるときは多めの金額に、余裕がないときは少なめの金額に設定でき、最低月5,000円の掛金でよいので、多くの人は無理なく掛金拠出を継続できると思います。

60歳以降の老後資金のためのiDeCoと、年齢に関係なくさまざまな目的に使えるつみたてNISAをバランスよく組み合わせての運用がお勧めになります。

「iDeCo」と「つみたてNISA」の概要
「iDeCo」と「つみたてNISA」の概要

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