コラムVol.34 クリエイターのお金の話

2019年1月15日
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平川らいあん (ひらかわらいあん)
ゲームクリエイター、シナリオライター。大手ゲーム会社でゲームディレクションを多数手がけ、その後独立。株式会社Megg(ミグ)代表取締役。独立後は複数の会社のゲーム開発に携わる。専門学校にて企画シナリオ講師やゲームを題材とした小説の執筆も行う。「お金の、育て方」内で配信中の「信託クエスト」のシナリオを担当。著書に「ゲームシナリオの教科書 ぼくらのゲームの作り方」、「ゲームプランとデザインの教科書 ぼくらのゲームの作り方」(ともに共著・秀和システム)がある。

クリエイターのお金の話

ゲームクリエイターの平川らいあんです。前回は「信託クエスト」の「制作秘話」をお話しさせていただきました。ここからはクリエイターという職業のお金の話をさせていただきます。

私は、ゲームクリエイターとして企画、シナリオ、ディレクションなど幅広くゲームの開発に携わらせていただいております。関わる仕事の内容によってお金の話も変わってきますので、今回は「ゲームシナリオライター」としての部分のみをお話しさせていただきます。

ゲームシナリオライターの働き方やお金の話は、今の働き方改革や副業のヒントになるかもしれません。

ゲームシナリオライターの契約形態にはいくつかの形があります。
1つ目は、ゲーム会社に社員として所属する形です。社員ですので、収入は安定しています。ただし、必ずしもゲームシナリオのみの業務ができるかというと微妙です。会社の社員ですので、自分の意向通りにならない事もあります。実際、ゲーム会社の社員でシナリオのみを担当している人は非常に少ないです。
2つ目は、ゲームシナリオライターの専門の会社に所属する形です。ゲームシナリオ専門ですので基本、ゲームシナリオの仕事ができます。まれにゲーム以外の仕事も来たりしますが…。
契約形態は正社員の場合もありますが、契約社員の場合が多いです。シナリオにもトレンドがあるため幅広いタイプのシナリオを書けないと契約終了になることもあります。実力主義の厳しい業界です。しかもゲームシナリオライターになりたい人は結構多く、専門の会社は少ないため、狭き門です。
会社に所属することができれば、収入も安定しつつ、好きな仕事ができることになります。ですが、契約終了になることも想定して資産形成をしておく必要があります。

3つ目は、フリーのゲームシナリオライターになることです。フリーには誰でもなろうと思えばなれますが、仕事は自分で取ってくる必要があります。仕事があれば収入がありますが、仕事がなければ、もちろん収入もありません。
フリーの場合の収入は「1人月(いちにんげつ)」という形と「納品ベース」という形があります。
「1人月」というのは、仕事量に関わらず「1ヶ月当たりいくら」という形で報酬をいただけます。固定費になりますので、作業がない「待ち」が発生した場合ももらえますが、逆に1ヶ月休みなしでぎっしり作業をしないといけない場合もあります。「納品ベース」というのは、依頼された分量を納品し、その分の報酬をいただきます。
「1人月」だとプロジェクトの期間が長ければ長いほどトータルでみると報酬が多くなりますが、開発会社に常駐だったり、打ち合わせ参加必須だったりと条件があり、拘束時間が多いなどデメリットもあります。「納品ベース」だと締切までに納品すればいいので、自分でスケジュールを調整できますが、1人月と比べると単発で終わることが多いです。
どちらにしろフリーの場合、常に依頼が来なければ収入が不安定になる可能性があります。そこで収入がない時期も生活費を確保するための貯えが必要となってきます。

気になるのはゲームシナリオライターは儲かるのかということだと思います。ずばり言うと!なんとも言えません(笑)。フリーで売れっ子になれば月100万円以上稼ぐことも不可能ではありません。ですが、分量も相当な量になりますし、アイデアを出し続けないといけません。

書くことが好きで、スケジュールを自分でコントロールすることができる人であれば、副業という道もあります。納期さえ守れば、仕事の後や休日を使って書いてもいいわけです。
ゲームシナリオライターは、自分の時間を使ってやりたいことをやって稼ぐという働き方改革にも適しています。

ゲームに関わらず、他の業種でも、クリエイターは似た形が多いのではないでしょうか。もしこれからクリエイターを目指そうとしている方は参考にしてみてください。

次回から、私が独立した際に行った投資について3回に分けてお話します。

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