コラムVol.35 投資信託のベンチマークを理解しよう!

コラム執筆者の写真
古徳 佳枝 (ことく よしえ)
東京大学卒業後、日興證券に入社。投資信託・投資教育業務等に携わった後、2002年退社し、東京大学大学院にて「大学におけるパーソナルファイナンス教育」に関する研究を行う。その後、野村アセットマネジメントに入社、投資信託のセミナー講師等を担当。2011年同社退職後は、金融経済教育インストラクターとして、大学生・高校生向けの金融経済教育の講師や確定拠出年金導入企業の社員向け説明会の講師等を中心に活動している。

投資信託のベンチマークを理解しよう!

近年、つみたてNISAや確定拠出年金での投資対象商品として、インデックスファンドへの注目が高まっています。インデックスファンドの値動きの特徴を知るには、そのファンドの「ベンチマーク」への理解が欠かせません。
ベンチマークという言葉は、もともと測量の際に利用する水準点を示す単語ですが、それが転じて金融の世界では、資産運用や株式投資における成果を比較するための基準として用いられるようになりました。
今回は、よくベンチマークに採用されている指数として、下表の8指数を取り上げて特徴をみていきます。

ベンチマークに採用されている8指数

国内株式のベンチマーク

国内株式におけるベンチマークといえば「東証株価指数(TOPIX)」「日経平均株価(225種)」の2つが代表的です。また、近年注目されている指数に「JPX日経インデックス400」があります。この3指数の特徴を比較してみましょう。

<国内株式市場を示す3指数の概要>
国内株式市場を示す3指数の概要
  • 浮動株とは、発行済株式の中で、市場に流通する可能性の高い株式のこと。

まず対象銘柄をみると、TOPIXは東証1部上場全銘柄と最も銘柄数が多く、より幅広く網羅的に国内株式の市場動向を反映するといえます。一方、日経225とJPX日経400は、それぞれ基準は異なりますが、対象とする銘柄を選別しているため、選定された株式の値動きの良しあしが指数に影響します。
次に大切な点が指数算出方法です。TOPIXやJPX日経400で用いられている「時価総額加重型」は、各株式の時価総額(株価×発行済株式数)を合計し指数化する方法です(実際には発行済株式総数ではなく、市場に流通する可能性の高い株式である浮動株比率を反映します)。そのため、時価総額が大きい企業である、トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャルグループ、ソニー、ソフトバンク、NTT、三井住友フィナンシャルグループなどが上位に並びます。一方、日経225は株価の平均値を基準としつつ、連続性を保つよう修正しています。そのため株価が高い銘柄である、ファーストリテイリング、ソフトバンク、ファナック、KDDIなどの占める比率が高く、これらの株価の動向に影響を受けやすいといえます。

3つとも同じ国内株式を対象としているため、「どれも大差ないから信託報酬が低いものを選ぶ」「どれが良いか事前にわからない」等と考える人もいるかもしれません。結果の良しあしはともかく、自分が投資したい国内株式が含まれており、計算方法や特徴を理解した指数をベンチマークとするファンドを選択してはどうでしょうか。国内株式は日本人にとって最も身近なマーケットです。漠然と投資するよりも、投資対象がどのような企業かについても理解することで、運用成果への納得感は高まるでしょう。

国内株式と比較して、その他資産の指数はなじみが薄いかもしれません。以下、概要をご紹介します。

国内債券のベンチマーク

「NOMURA-BPI総合」は、国内で発行された一定基準を満たす公募利付債券を対象に、債券保有中に得られる利子収入も考慮して、時価総額ベースで算出された投資収益指数(パフォーマンス指数)です。
債券を発行体別に分けると「国債」「地方債」「社債」などがありますが、日本で最も残高が大きいのは国債で、全体の80%以上を占めています。また償還までの残存年数は短期から超長期まで幅広い債券がありますが、平均すると9年超となっています。
「NOMURA-BPI総合」への連動を目指す国内債券インデックスファンドに投資することで、日本の債券市場の平均的な資産構成で債券を保有した場合と類似した運用成果が期待できます。

外国株式のベンチマーク

(1)先進国を対象とする「MSCI KOKUSAI インデックス(円換算ベース)」
指数冒頭の「MSCI」とは、「モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル」の頭文字をつなげたもので、指数の算出・公表を行っている会社名です。
「MSCI KOKUSAI インデックス」は、MSCIが定義した日本を除く先進国の株式を対象にした時価総額ベースの指数です。日本の投資家からみた先進諸外国の株価の動きを表す代表的な指数で、定期的に構成国や採用銘柄の見直しが行なわれています。2018年11月現在の構成国は22か国で、上位から「アメリカ」「イギリス」「フランス」「カナダ」「ドイツ」等となっています。市場規模の最も大きい米国株式の比率が約68%と高く、米国株式の値動きの影響を受けやすいといえます。

(2)新興国を対象とする「MSCIエマージング・マーケット・インデックス(円換算ベース)」
「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」は、MSCIが定義した新興国の株式を対象とした時価総額ベースの指数です。2018年11月現在の構成国は24か国で、上位から「中国」「韓国」「台湾」「インド」「ブラジル」等となっています。新興国とひとくくりにしていますが、国によって株価変動は異なります。「新興国はリスクが高いから複数国に分散投資したい」と考えるのであれば、当該指数をベンチマークとするファンドは投資対象として適切です。一方で「これから、この国の株は値上がりしそうだ」など、特定国の株価上昇に着目する場合は、この指数をベンチマークとするファンドの選択は目的に合いません。指数の対象と自分の投資方針がマッチしているか確認してみましょう。

外国債券のベンチマーク

(1)主に先進国を対象とする「FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)」
指数冒頭の「FTSE」は、指数を算出・公表する「FTSE Fixed Income LLC」(ロンドン)のことです。
「FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)」は、日本を除く主要各国が発行した一定基準を満たす国債を対象にした時価総額ベースの指数です。2018年11月現在の構成国は21カ国で、新興国も含まれていますが、時価総額が大きい「アメリカ」「フランス」「イタリア」「イギリス」「スペイン」等が上位構成国となっていますので、それらの影響が大きくなります。

(2)新興国を対象とする「JPモルガン・GBI・EMグローバル・ダイバーシファイド(円ベース)」
指数冒頭の「JPモルガン」は指数を算出・公表する「ジェー・ピー・モルガン・セキュリティーズ・エルエルシー」のことです。「GBI」は「ガバメント・ボンド・インデックス」の頭文字をつなげたもの、「EM」は「エマージング・マーケッツ」、「ダイバーシファイド」は、「さまざまな種類の」といった意味です。
「JPモルガン・GBI・EMグローバル・ダイバーシファイド(円ベース)」は新興国が発行する現地通貨建て国債を対象にした時価総額ベースの指数です。債務残高が高い特定国に組入れが集中することを避けるため、一国の組入れ上限比率が設定されており、2018年11月現在の構成国は19カ国で、「ブラジル」「メキシコ」「インドネシア」「南アフリカ」「ポーランド」等となっています。
新興国は先進国と比べて金利水準が高い傾向がありますが、一方で金利上昇による債券価格の下落や、その国の通貨と円との間での為替変動リスクにも注意する必要があります。

ベンチマークへの連動を目指すインデックスファンドはもちろん、ベンチマークを上回る投資成果を目指すアクティブファンドにおいても、ベンチマークの値動きが投資家のリターンに多大な影響を与えます。一歩進んだ投資をするために、ベンチマークとなっている指数にもぜひ目を向けてみて下さい。

ご留意事項

  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
  • 本稿に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、三菱UFJ信託銀行は一切責任を負いません。
  • 本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者及び三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。