コラムVol.37 人生100年時代、シニア世代のライフプラン

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奥野 美代子 (おくの みよこ)
CFP®(ファイナンシャルプランナー)、中小企業診断士、MBA。
デンマークのオーディオブランドで富裕層向けのマーケティング&PRに26年間携わった後、中小企業診断士/FPの資格を取得し、経営コンサルタントとして独立。
日本FP協会 平成24年「暮らしとお金の相談室」相談員、平成26年広報センター電話相談員などを歴任。30代から始めたライフプランに基づくマネープラン、2回のマンション購入と不動産賃貸、リストラ後の独立等、自らの経験に基づき、相談者の立場に立って資産形成、保険、住宅ローンなどのアドバイスを行う。他に、中小企業の経営コンサルティング、確定拠出年金や企業主催のセカンドライフセミナーなどの講師も務める。

シニア世代のライフプランは、50代から

今回は、子育てが終わり、定年後から老後のライフプランについて考えてみましょう。
50代を迎え、シングルの人もいれば、3世代で賑やかに暮らす人、夫婦2人の生活に戻った人もいるでしょう。どの場合でも、人生100年時代の長いシニアライフが待っています。
ここでは、子育てを終えて定年退職が近づいた50代、60代を例に、シニア世代のライフプランの考え方を示します。
下の図は年金セミナーなどでよく紹介される年金世代の収支を示すイメージ図です。不足する金額ばかりが頭に残るせいか、FP相談でも「退職までに3,000万円貯めればいいのでしょうか」、「1,000万円しかないけどどうしたらいいでしょうか」というご相談を受けます。漠然と老後のお金の不安を感じている人が多いようです。
シニア世代のライフプランは、60歳から30年から40年の長い計画になります。退職後は、計画の立て直しは難しく、老後のお金の不安の解決は簡単ではありません。また、公的年金の受取開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられていることもあり、年代によっては退職から公的年金の受取まで空白期間も発生します。ライフプランは50代のうちから夫婦で考え始めることをお勧めします。

年金世代の収入と支出
年金世代の収入と支出
  • 公的年金の支給開始後の収支比較

年金はいつ、いくら受け取る?

シニア世代のライフプランは、再雇用後の給与、パート収入、年金、退職金、満期の貯蓄などの収入、毎月の生活費や臨時支出を含めた支出を元に作りますが、基本となるのは、年金の受取額と毎月の生活費です。
まず年金の受取額をできるだけ正確に確認し、書き出します。企業年金、iDeCoや生命保険の個人年金があれば、すべて、夫婦それぞれがいつからいつまで、いくら受け取るかを書き出しましょう。
公的年金については、毎年誕生月に送られる「ねんきん定期便」に、50歳以降60歳まで同条件で働いた場合に、いつからいくら公的年金を受け取ることができるか記載されています。夫婦それぞれ確認しましょう。企業年金や個人年金は、会社や金融機関に問い合わせ、確認します。公的年金は、死ぬまで受取続けることのできる終身払いなので、下記の例では、夫79歳、妻77歳時の年金合計306万円を夫婦存命中は、ずっと受け取ることができます。
政府は、「公的年金の受取額が増える」と繰り下げ受給を勧めていますが、ライフプランに書き出して、収支にどういう影響があるか、検討してから決めましょう。

ライフプラン表(年金受取額)
ライフプラン表(年金受取額)

生活費

年金額を確認したら、次は生活費の目安を立てましょう。
下記は、総務省の家計調査で示された高齢無職世帯の生活費の平均値です。
日常の生活費と交際費・教養レジャー費等を含めて、一月あたり26.5万円の支出で、公的年金22.1万円との差額4.5万円は毎月貯金を切りくずすイメージです。健康保険や税金などの非消費支出が3万円近くかかることに注意しましょう。
こちらも統計値なので、実際の家計費と大きな差があるかもしれません。我が家の場合はいくらになるのか、現状の生活費を調べて試算することが大事です。また、退職後いきなり生活費を大幅に下げることは難しいので、退職前から無駄をなくす視点で生活費を下げることを考えておきましょう。特に、生命保険料や通信費、食費は無駄をなくしスリムにできる要素があります。下記のデータでは、住居費は1.4万円しかかかっていませんが、賃貸住居の人は、毎月の住居費を加えて、生活費を試算しましょう。

高齢無職世帯の収入と支出
高齢無職世帯の収入と支出

健康寿命

長生きしても、寝たきりだったり介護が必要だったりでは、思うようなシニアライフを過ごすことはできません。人生100年時代のライフプランを考えるとき、健康で自立した生活を送ることが大事です。
下図は、男女別の平均寿命・余命と健康寿命を示したものです。健康寿命は「健康上の問題で日常生活を制限されることなく生活できる期間」と定義され、自立した生活ができる時間になります。
日本人の平均寿命は伸びていますが、健康寿命との差は11〜14年もあり、多くの高齢者は、老齢や病気で介護や家族の助けを借りた生活を送っています。
ライフプランを考える時、50代から夫婦で無理なく続けることのできる運動や食生活に配慮し、健康診断を受ける習慣をつけ、健康寿命をできるだけ長く伸ばし、自立した生活ができるように準備しましょう。

平均寿命と健康寿命
平均寿命と健康寿命

50代からの夢を叶えるライフプラン

ライフプランの基本は、自分の夢を叶えること。シニア世代も同じです。入ってくる予定のお金と老後の生活と夢を叶えるためのお金がいくらかかるか、ライフプラン表に書き出すと、不足する金額が予測できます。
50代からライフプランを考えると、年金以外にいくら貯蓄があればいいのか、不足する金額をどのように準備するか、退職後に考え始めるより、より多くの可能性を考えることができます。

現役時代にできること

  • 家計を見直し、少しずつ積み立てる
  • 妻がパートで働き、貯蓄を増やす
  • パートの時間を増やし、妻も厚生年金に加入する
  • 貯蓄の一部を運用する・・・・・

退職後にできること

  • 再雇用後も長く働く
  • 独立して収入を増やす
  • 元気なうちはパートで働く
  • 小さい家に住みかえる
  • 持ち家を貸し、賃貸収入を得る・・・・・

まとめ

シニア世代のライフプランを考えるときに大事なことは、自分でコントロールできることとできないことを区別して考えることです。漠然とした老後の不安を抱えながら、何から手をつけていいかわからないまま老後を迎えてしまうと、シニアライフが節約ばかりになってしまいます。
働くことはお金を稼ぐだけでなく、外出するために身支度を整え、仕事先で会話するなど、体や頭を使うので老化を防ぐ効果もあります。生活費は間に合っても、短時間パートで働くことで、生活の潤いとなるレジャーや会食の費用を捻出し、メリハリのある生活をすることができます。
人生100年時代の長いシニアライフを積極的に楽しむために、50代から夫婦で退職後のライフプランを立てることをお勧めします。

ご留意事項

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