コラムVol.64 地方クリエイターの仕事とお金の話4「地方での挑戦」

2020年5月8日
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平川らいあん (ひらかわらいあん)
ゲームクリエイター、シナリオライター。大手ゲーム会社でゲームディレクションを多数手がけ、その後独立。株式会社Megg(ミグ)代表取締役。独立後は複数の会社のゲーム開発に携わる。専門学校にて企画シナリオ講師やゲームを題材とした小説の執筆も行う。「お金の、育て方」内で配信中の「信託クエスト」のシナリオを担当。著書に「ゲームシナリオの教科書 ぼくらのゲームの作り方」、「ゲームプランとデザインの教科書 ぼくらのゲームの作り方」(ともに共著・秀和システム)がある。

地方での挑戦

ゲームクリエイターの平川らいあんです。2017年に20年過ごした東京から地元、九州の宮崎県宮崎市にUターンしました。地方クリエイターとなった私が地方での仕事とお金のお話しをさせていただいております。今回で第4回目。地方に拠点を移した理由は大きく3つありました。

宮崎県宮崎市に拠点を移した理由

前回は「宮崎でのワークライフバランス」についてお話ししました。今回は「将来を見据えた新しいことへの挑戦」について、詳しくお話ししたいと思います。

新しい挑戦は、「ボードゲームカフェ」をオープンすることでした。カフェ経営にあこがれ、定年後はカフェをやりたいって声もよく聞きますよね。私もその1人でした(笑)。そして、無事、宮崎で「ボードゲームカフェ」をオープンすることができました!実現するまでの詳細をお話しさせていただきます。
働き方改革や地方への移住に興味のある方、地方で新しいことをやりたいと考えている方へ、参考になれば幸いです。

将来を見据えた新しいこと

宮崎に戻るに当たって、将来を見据えた新しいことへの挑戦を考えていました。「将来を見据える」というのは自分にとって「長く続けることができること」「歳をとってもできること」がポイントでした。
長く続けるためには「好きなこと」、そして、みんなに喜ばれるもの。特に宮崎に歓迎されるものがいいと考えました。また、東京では籠って仕事をすることが多く、仕事の話以外の会話が少なくなっていたので「人と触れ合う仕事がしたい」「人と繋がる仕事したい」と思うようになっていました。

もう1つ宮崎に戻ってやりたいことに「宮崎のゲーム好きのための環境をつくりたい」というのがありました。現在の宮崎市にはゲームセンターもゲームショップもなく、ゲーム好きが集まれる場所がなくなっていました。
私は、元々テレビゲームが好きで、趣味で歴代のテレビゲーム機多数とソフトを1000本以上所有していたのです。それも活かしたい。ゲーム好きが集まり遊べるカフェかバーをやろうと思ったのですが、テレビゲームをプレイさせるお店は権利の関係でできません。そこで、テレビゲームの販売をし、ボードゲームが遊べるカフェにしようと考えました。

全国的にボードゲームカフェが増えていましたが、宮崎にはまだなく、特に地方だとボードゲームのファンも多くありませんでした。宮崎市にはなくなったゲームショップとすることで、テレビゲーム目的で来てもらい、そこからボードゲームを広げていこうという構想がありました。
とはいえ、お店をはじめるのは簡単ではありません。立地や家賃を考えた物件探し、施工や備品の購入など、とにかく時間とお金がかかります。ですが、ここで思いがけない協力者が現れ、あっという間に実現できることになったのです。

思いがけない協力者

お店をオープンする際に1番はじめに考えたのは、物件です。立地は大切ですし、家賃は毎月の固定費になります。家賃は、東京と比べて圧倒的に安く、お店などやりたい人にとっては非常に挑戦しやすい環境かと思います。

立地は、若草通という、子供の頃から大好きだった場所にしようと決めていました。以前は、にぎやかなアーケード街だったのですが、郊外にショッピングモールができてから、人通りが減りさびしくなっていたので盛り上げたい気持ちもありました。不動産屋に連絡して物件を内見しようとしたのですが、中々タイミング合わず物件を見ることができませんでした。

そんな時、知り合いから宮崎市の職員を紹介してもらいました。正直、宮崎市の職員と話をしてもと思ったのですが、宮崎市が主催して商店街と協力し、物件の内覧会をやっていたのです。すぐに複数の物件を見ることででき、オーナーさんとも会わせてくれたので、確認や相談もしやすく、すぐに決まりました!さらに、誘致に力を入れている宮崎市から家賃の補助金が出ることになったのです。

宮崎市の職員や商店街の方が協力してくれたおかげで実現できました。正直、こんなに力を貸してくれるなんて思いませんでした。感じたのは宮崎を盛り上げたいという気持ちはみんな同じだということ。みんな真剣に考え、行動しています。そして、行動している人には、全力で力を貸してくれる。これも地方のいい所です。こうしてボードゲームカフェをオープンすることができました。

ボードゲームカフェ

このボードゲームカフェが新しい繋がりのきっかけとなりました。次回、地方のコミュニティについてお話しします。

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