コラムVol.70 地方クリエイターの仕事とお金の話6「情報格差」

2020年7月15日
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平川らいあん (ひらかわらいあん)
ゲームクリエイター、シナリオライター。大手ゲーム会社でゲームディレクションを多数手がけ、その後独立。株式会社Megg(ミグ)代表取締役。独立後は複数の会社のゲーム開発に携わる。専門学校にて企画シナリオ講師やゲームを題材とした小説の執筆も行う。「お金の、育て方」内で配信中の「信託クエスト」のシナリオを担当。著書に「ゲームシナリオの教科書 ぼくらのゲームの作り方」、「ゲームプランとデザインの教科書 ぼくらのゲームの作り方」(ともに共著・秀和システム)がある。

地方に拠点を移して分かった事

ゲームクリエイターの平川らいあんです。2017年に20年過ごした東京から地元、九州の宮崎県宮崎市にUターンしました。地方クリエイターとなった私が地方での仕事とお金のお話しをさせていただいております。今回で6回目。地方に拠点を移した理由は大きく3つありました。

宮崎県宮崎市に拠点を移した理由

新しい挑戦である「ボードゲームカフェ」は順調。営業時間は、週末金曜日〜日曜日で、それ以外の平日はゲーム制作の仕事をするという生活になりました。東京の時とは違ってプライベートも充実。
何も問題はないように思えたのですが、地方で圧倒的に不足しているものがありました。それは地方で仕事する上で大きく影響していきます。今回は、それは何なのかお話ししたいと思います。
地方での移住に興味のある方、地方で新しいことをやりたいと考えている方へ、少しでも参考になれば幸いです。

地方で圧倒的に不足しているもの

ボードゲームカフェの常連さんや宮崎市の職員のおかげで、中心街でゲームイベントを行うことができました。たくさんの人に来てもらったのですが、残念ながら目標には届かず、収支も赤字でした。
終わった後、色んな人の話を聞いた所、イベントがあったことを知らなかったとの声が多かったのです。コミュニティによる口コミの力は強いのですが、限りがあります。
地元のテレビ、ラジオ、新聞、タウン誌など主要なメディアにも載せてもらったのですが、届きませんでした。

もちろんインターネットでもやれることはやりました。東京のゲーム関係者も協力してくれ、SNSや動画で情報を広げてもらうことができたのですが、東京、大阪などの都会の人の方が反応したものの、宮崎を訪れるまでには至りませんでした。
インターネット普及率を見ても、宮崎は残念ながら低いです。宮崎に限らず地方ではまだまだ普及率は低いようです。インターネットでSNSを使用している人も少ないように感じます。

都道府県別インターネット利用状況(平成30年)

宮崎ではやはり地元のメディア、特にテレビが強いのですが、宮崎は民法テレビ局が2局しかありません。放送される番組数も少なく、その多くを全国での人気番組が占めています。地元の情報番組は少数。地元の情報が地元の人に届かないことが多々あります。
人気番組が優先されるので、特にゲーム番組やアニメなどサブカルの番組なども少なく、サブカルが好きな人達にとっては非常に厳しい環境です。放送日も数週間遅れる事も多く、流行りも遅れてくることが多くあります。

ネット社会とはいえ、やっぱりテレビの力は大きいのが分かりました。ネットは自ら取りに行くメディアなので好きなものを見るので偏ります。テレビのように受け取るメディアから自然と入ってくる情報は重要。これは地方に来てから特に感じるようになりました。

情報格差

人口が少ないのも情報の速さや量に影響しています。やはり仕事の情報も業界の生の声が1番速いです。メディアに載る頃には、広がった後だったり、成熟した頃だったりとだいぶタイムラグがあります。また、宮崎はゲーム会社がないので、業界の生の情報が入って来ません。ゲームは移り変わりが激しい業界なので特に厳しいです。

地方では圧倒的に情報が不足しています。都会との情報格差は非常に大きいです。
地方でITやゲームなど移り変わりが激しい業界の人が働くなら、都会の情報源になる人との繋がりなどが必要でしょう。そして定期的に都会に行ける方が理想的かと思います。

次回は、売上や生活にかかる費用など地方に来てどう変わったかお話しさせていただきます。

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