コラムVol.85 地方クリエイターの仕事とお金の話10「行政との距離」

2020年11月4日
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平川らいあん (ひらかわらいあん)
ゲームクリエイター、シナリオライター。大手ゲーム会社でゲームディレクションを多数手がけ、その後独立。株式会社Megg(ミグ)代表取締役。独立後は複数の会社のゲーム開発に携わる。専門学校にて企画シナリオ講師やゲームを題材とした小説の執筆も行う。「お金の、育て方」内で配信中の「信託クエスト」のシナリオを担当。著書に「ゲームシナリオの教科書 ぼくらのゲームの作り方」、「ゲームプランとデザインの教科書 ぼくらのゲームの作り方」(ともに共著・秀和システム)がある。

行政との距離

ゲームクリエイターの平川らいあんです。2017年に20年過ごした東京から地元、九州の宮崎県宮崎市にUターンしました。地方クリエイターとなった私が地方での仕事とお金のお話しをさせていただいております。今回で第10回目。

突然ですが、皆さんは行政との付き合い方ってどんな感じですか?私が東京にいた時は、区役所での住民票などの手続きでお世話になるぐらいでした。しかし宮崎にUターンしてから行政との距離がぐっと近づき、色々助けていただきました。店舗の物件を見つけられたのも、市街地でイベントができたのも行政の方のおかげでした。
今回は、地方の行政との距離についてお話しします。移住を考えている方、興味ある方は見ないと損しますよ。必見です。

知らなかった行政の姿

宮崎で新しい試みとしてボードゲームが遊べるカフェをやる時に不動産屋で物件を探したのですが、内見すらあまりできませんでした。そんな時、宮崎市の職員を紹介してもらいました。なんで宮崎市の職員をとも思ったのですが、宮崎市の職員が商店街と協力し「空き店舗内覧会」を毎月実施していたのです(2020年8月現在コロナの影響で休止中)。物件のオーナーとの連携も取れていたため、複数の物件を見せてくれ、オーナーも紹介してくれたので相談もしやすく、すぐに決まりました。まさか物件探しを手伝ってくれるとは思ってもみませんでした。

さらに宮崎市の職員から、宮崎市が企業の誘致、Iターン、Uターンの支援に力を入れていて助成金や補助金制度があることを教えてくれました。私も「まちなか業務機能集積推進モデル事業」※1として認定してもらいました。
市街地で行ったゲームイベントの時にも「まちなか公共空間活用促進事業」※2という補助金を使わせてもらいました。

市街地で行ったゲームイベント

制度内容や申請に必要な資料について細かく教えてくれました。こんなに行政の方に力になってもらったのは、はじめてでした。
宮崎市の職員は色んな活動もしていて「宮崎ベースキャンプ」という有志が作ったグループがあり、街中のゴミ拾いなどを行っています。一般の人も参加でき、ゴミ拾いの後には、みんなで軽い交流会もやっています。ここで雑談や相談ができます。雑談から話が盛り上がり、開催が決まったイベントもあるそうです。

こんなに行政との距離が近いとは思いもしませんでした。イベントや宮崎ベースキャンプの活動は土日も行っていましたし、イベントの件など夜遅くまで親身になって相談に乗ってくれました。知っているつもりになっていた行政の姿とは全然違っていて、宮崎を盛り上げたいという気持ちがひしひしと伝わってきました。だからこそ私も「自分ができることを力いっぱいやりたい」「少しでも宮崎に貢献したい」と、宮崎でゲーム会社を続けることを決め、ボードゲームカフェやゲームのイベントにも挑戦しようと思えたのです。

宮崎市に限らず、地方は誘致、Iターン、Uターンの支援に力を入れている所が多いです。移住を考える際には、調べてみたり問い合わせしてみたりしてください。きっと知らなかったことが見えてくるはずです。それはやる気となり、将来の希望にもなり得ます。

  • ※1〜2 の助成等についての詳細はホームページ等でご確認下さい。

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