コラムVol.92 マネーライターの取材裏話――マネー誌に書かなかったこと&書けなかったこと 新しい年の初めに詣でたい“金運神社”

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森田 聡子 (もりた としこ)
早稲田大学政治経済学部卒業後、地方紙勤務を経て日経ホーム出版社、日経BPにて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は書籍や雑誌、ウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に対し、難しい投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく「書く」(=ライティング)、「見せる」(=編集)ことをモットーに活動している。著書に『節税のツボとドツボ』(日経BP)、編集協力に『マンガ 定年後入門』(日本経済新聞出版社)、『教科書には書いてない 相続のイロハ』(日経BP)。

新しい年の初めに詣でたい“金運神社”

早いもので、2020年も残すところわずかです。2020年はいろいろな意味で、長く記憶に残る年になりそうです。
アルベール・カミュの《ペスト》がリバイバルでロングセラーになりましたが、引き金になったのが病原菌かウイルスかの違いはあれ、「ロックダウン(都市封鎖)」という小説の中の出来事がまさか21世紀の社会に起きようとは、昨年末には想像すらしませんでした。
年がリセットされ、今の閉鎖的な状況も大きく改善されることを祈らずにはいられません。

さて、マネー誌に在籍していた頃、年末に発売される新年号で度々取り上げる人気企画がありました。「開運」特集です。
中には、「マネー誌が神頼みなんて……」と眉をひそめる方もいるでしょう。しかし、筆者が取材した勝ち組投資家にも、信心深く、ご先祖様を敬い、験を担ぐ方が大勢いらっしゃいました。知識や経験がモノを言う世界ではありますが、そこに「運」もないと勝ち続けてはいけないのかもしれません。

この時期の開運法と言えば「初詣で」です。初詣でを日本古来の慣習と考えている方が多いようですが、実はそう長い歴史があるわけではありません。皆が正月に神社仏閣にお参りするようになったのは、明治中期頃のことと聞きました。約120〜130年前ですね。
日本はそもそも「八百万(やおよろず)の神々がおわす国」ですから、金運アップを図りたいというニーズに特化した神社もあります。有名なのは、神奈川県鎌倉市の銭洗弁財天宇賀福神社(通称、銭洗弁天)や、京都市の御金神社です。

銭洗弁天は源頼朝が夢のお告げで霊水を発見したことから創建し、第5代執権・北条時頼がその水で銭を洗って一族の繁栄を願ったとされる鎌倉幕府ゆかりの神社です。「銭洗水」でお金を清めると何倍にもなって返ってくるという伝承があり、初詣でには全国からそのご利益にあやかろうという善男善女が押しかけます。
御金神社は金属と鉱物の守り神カナヤマヒコノミコトを祀っています。京都の街中にある小さな神社ですが、ぱっと人目を引く黄金の鳥居はいかにも霊験あらたかな印象です。ここで人気が高いのが「福財布」で、購入した宝くじや銀行の通帳を保管するのに使うと金運アップに効果的とのことです(福財布の“有効期限”は1年間だそうなので、毎年買い替える必要がありますね)。

コロナ禍に遠方の神社に足を延ばすのも……と躊躇される方は、ご近所でご利益のある神社を探す方法もあります。その際に注目したいのが、ご祭神です。ここでは、《古事記》に登場する2柱の女神様をご紹介したいと思います。
まずは、イナダヒメノミコト(クシナダヒメミコト)です。スサノヲノミコトによる八岐大蛇(やまたのおろち)退治の話はよく知られていますが、そのヒロインで危うく大蛇の生贄にされそうになったのがイナダヒメノミコトです。名前の通り「稲田」を守護する、美貌に恵まれた豊穣の女神として知られています。「豊穣=実入りがいい」ことから、財運に高いご利益があると言われています。
イナダヒメノミコトは、八岐大蛇事件の後に結ばれたスサノヲノミコトと一緒に祀られていることが多いようです。氷川神社や八重垣神社、今宮神社、須賀神社、八坂神社などです。

次は、イチキシマヒメノミコト(サヨリビメノミコト)を挙げたいと思います。「宗像三女神」と呼ばれる、海の守護神である三姉妹の1柱です(《古事記》では“次女”とされています)。
古代人にとって海は豊かな恵みをもたらす一方で、時に荒れ狂い人や舟を飲み込んでしまう畏怖の対象でした。そこで、海を神格化することで漁や交易の安全を祈ったのです。航海の安全は経済の発展や国家の繁栄をもたらすことから、商売繁盛や財運向上のご利益があると言われます。
姉妹の中でも随一の美貌で人気のイチキシマヒメノミコトは、神仏習合で財宝や芸能の女神である弁財天と同化され、「弁天様」として広く信仰されるようになりました。イチキシマヒメノミコトが祀られているのは、宗像大社や嚴島神社、四宮神社、市杵島神社、松尾大社などです。
ご自宅の近くにイナダヒメノミコトやイチキシマヒメノミコトを祀った神社があるようでしたら、ぜひとも初詣でに立ち寄り、2021年の金運を祈願していただければと思います。

2021年の初詣ででは「3密」を避けるため、行政や神社仏閣が正月三カ日を避けて分散してお参りするよう呼びかけを行っています。
実は以前、取材で神社関係の方に厚かましくも「海外旅行などで初詣でに行けなかった場合、いつまでに行ったらいいですか」と伺ったことがあります。答えは、「暦の上で新しい年が来るのは立春(2021年は2月3日)です。その前日の節分の日までに済ませておけばいいのではないでしょうか」というものでした。
参拝の際には、神様に(心の中で)ご自分の住所と名前をしっかり伝えたほうがいいようです。既にご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、個人的には取材時の大きなサプライズだったので付記した次第です。

最後になりますが、拙稿をお読みくださった皆様にとって2021年が「安心」と「財」を得られる良き一年となりますように!

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