コラムVol.93 地方クリエイターの仕事とお金の話12「地方のエンタメ」

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平川らいあん (ひらかわらいあん)
ゲームクリエイター、シナリオライター。大手ゲーム会社でゲームディレクションを多数手がけ、その後独立。株式会社Megg(ミグ)代表取締役。独立後は複数の会社のゲーム開発に携わる。専門学校にて企画シナリオ講師やゲームを題材とした小説の執筆も行う。「お金の、育て方」内で配信中の「信託クエスト」のシナリオを担当。著書に「ゲームシナリオの教科書 ぼくらのゲームの作り方」、「ゲームプランとデザインの教科書 ぼくらのゲームの作り方」(ともに共著・秀和システム)がある。

地方での危機感

ゲームクリエイターの平川らいあんです。2017年に20年過ごした東京から地元、九州の宮崎県宮崎市にUターンしました。地方クリエイターとなった私が地方での仕事とお金のお話しをさせていただいております。今回で第12回目。

今回は、私が宮崎に戻ってきて、1番危機感を感じていることについてです。それは「遊ぶ場所が少ない」こと。さらにゲームやアニメなどのサブカルが好きな人が遊ぶ場所はもっと少ないのです。なぜ危機感を感じているのかお話しさせていただきます。
地方の遊びや娯楽、エンターテイメントについての参考になると思います。それは街づくりのヒントになるかもしれません。

地方のエンタメ

「遊ぶ場所が少ない」とは言え、海や山など自然の遊びはたくさんあります。ですが、自然の遊びは準備が必要ですし、天候に左右されやすいという欠点もあります。また、宮崎市はスナック数日本1位(NTTタウンページデータベースより)だったり、焼酎の消費量が日本2位(日本酒造組合中央会調べ)だったりと、お酒を飲めるお店は充実していて、大人が集まれる場所はたくさんあります。

ですが、家族で遊べるアミューズメント施設などが少ないのです。遊園地は県内にありませんし、ゲームセンターも数えるほど。さらに子供だけで遊びに行ける場所はすごく限られています。公園などもボール遊びが制限されていたりと遊びの幅も狭くなっています。

また、宮崎には文化的施設も少ないのです。学校行事でみんなで行った博物館は、大人になってからも思い出として残っている大切な場所です。演劇や音楽鑑賞なども感性を磨くためには必要です。ですが、施設が少なく、演劇などの公演も少なく、文化に触れる機会は少なくなっています。

博物館数、美術館数、動物園・植物園数:県別ランキング

遊ぶ場所が少ないため、今やゲームが子供の大切な遊びになっています。それなのに、親御さんから「子供がゲームばかりやっていて困る」とよく相談を受けます。香川県では「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」が2020年4月1日に施行されました。「ゲーム障害」を防ぐため「1日60分、休日は90分までの使用制限」という内容で、個人の嗜好や行動を制限するものとして批判も多いようです。

確かにやりすぎはよくありません。しかしそれは何にでも言えること。ゲームにもいい所がたくさんあります。私もゲームで友達ができたし、知識も増え、遊びの幅が広がりました。たくさんのことを学んだのです。そのためには、親御さんも頭ごなしにゲームを否定するのではなく、理解も必要です。宮崎では、ゲームやアニメなどのサブカルが好きな人が遊ぶ場所も少なく、知識を得る場所も少ないのです。親御さんが知識を得てコントロールしつつ、子供が遊べる場所を増やしていかないと、ただゲームを与えるだけになり、結果やりすぎて、「ゲーム=悪いもの」ということになってしまいます。

私が子供の頃に遊んだ遊園地もサファリパークもプールもスケート場もなくなりました。デパートでは、ゲーム大会も頻繁に開かれていて、みんなで一生懸命練習して参加しました。今でも大切な思い出です。楽しい思い出があったからこそ、宮崎に戻ってこようと思えたのです。

もっとエンターテイメントやサブカルを理解し、幅広いジャンルの遊ぶ場所を増やしていかないと、子供たちが大人になった時、都会へ出るきっかけになってしまうでしょう。子供の頃の楽しい思い出を増やしていかないと、戻りたいという気持ちも起きないかもしれません。遊ぶ場所。それは、地方の未来を考えると非常に大切なことだと思います。

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