コラムVol.55 健康でいきいき長生き、シニア起業にチャレンジ

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奥野 美代子 (おくの みよこ)
CFP®(ファイナンシャルプランナー)、中小企業診断士、MBA。
デンマークのオーディオブランドで富裕層向けのマーケティング&PRに26年間携わった後、中小企業診断士/FPの資格を取得し、経営コンサルタントとして独立。
日本FP協会 平成24年「暮らしとお金の相談室」相談員、平成26年広報センター電話相談員などを歴任。30代から始めたライフプランに基づくマネープラン、2回のマンション購入と不動産賃貸、リストラ後の独立等、自らの経験に基づき、相談者の立場に立って資産形成、保険、住宅ローンなどのアドバイスを行う。他に、中小企業の経営コンサルティング、確定拠出年金や企業主催のセカンドライフセミナーなどの講師も務める。

健康でいきいき長生き、シニア起業にチャレンジ

2019年6月に「公的年金だけでは老後約2,000万円不足」と示した金融庁の報告が話題となりました。報告書の趣旨は、iDeCoやNISAを活用し、自助努力の老後資金準備を促すものでしたが、「毎月5万円足りない」とか、「2,000万円ない人はどうする」などと、表面的な数字に終始していたのはとても残念なことでした。
老後の資金準備だけが目的ではありませんが、シニア世代で起業を希望する人が増えています。これからのシニア世代のライフプランをどのように考えていけばよいでしょうか?

人生100年時代の人生設計 再構築!

これまで老後の生活のイメージといえば、趣味やボランティアでのんびり生活を楽しんでいるお年寄りの姿が思い浮かぶかもしれません。20歳頃から約40年近く仕事をしてきたのだから、定年後はゆっくり過ごしたいと思うのも無理はありません。しかし、人生100年時代となると、仕事をしていた40年間とほぼ同じくらいの年月が待っています。この時間をどのように使うのか、しっかり計画するかどうかでその後の人生は大きく違ってきます。
経済的にも、これまでは40年働いて蓄えたお金と年金で20年ほどの老後の生活を支えればよかったものの、今や40年働いてその後40年の生活を支えなければなりません。ライフプランとマネープランも今まで通りにはいきません。
現在は、多様性の時代と言われています。仕事を続ける場合でもそのまま再雇用なのか、これまでの経験を元に起業するのか、新しく資格や経験を積み、新しい仕事にチャレンジするのか、様々です。副業を認める会社も増えたので、会社員時代に副業を始め、退職後に1本立ちする方法もあります。
家族の介護、ボランティアや趣味の時間を確保しながら、プライベートの生活を充実しつつ起業するという人もいます。「誰かが起業したから私も」ではなく、自分らしい起業のカタチを考えましょう。

豊かなセカンドライフのための3つの視点

自分らしい起業のイメージがつかめたでしょうか。実は、豊かなセカンドライフを過ごすには、3つの視点が大事です。1つは長い人生を過ごすためのしっかりしたマネープラン、2つ目は、生きがい設計、そして、3つ目は健康生活です。いくらお金があったとしても、毎日することもなくぼんやりしていたら楽しいでしょうか。お金があって、生きがいのある生活設計が作れたとしても、健康を損ねていてはイキイキした生活を実現することはできません。この3つの視点について考えていきましょう。

1.シニア世代のマネープラン

シニア世代の「平均的な」家計のイメージを下記に示します。収入は、2019年度の厚生労働省発表の「平均的収入」で40年働いた会社員と専業主婦の夫婦の受け取る公的年金額です。支出は、2018年の総務省の高齢夫婦無職世帯の家計調査の支出金額です。支出合計と公的年金受給額の差額は4.3万円です。統計年度が違うので数字が異なりますが、金融庁の報告書で2,000万円不足というのも、毎月の収支の月4〜5万円不足額の30数年分を計算したものです。
しかし、これは統計上の毎月の基本的な生活費だけです。老後の生活費を考えるときは、その他の冠婚葬祭や旅行、車検、住宅修繕費など、多少の贅沢やリスクへの備えも考えておく必要があります。ファイナンシャルプランナーがよく使うゆとりある生活をするための収入としては、生命保険文化センターが3年に1回実施する意識調査の数字をもとに、年金以外に約14万円必要と言われています。
これらの数字はあくまでも統計上の数字です。家族でどんな生活をしたいかを考え、そのためにいくら必要となるのか、何にお金をかけて何を節約するか、マネープランを立てて準備することが大事です。

高齢夫婦無職世帯の収支(単位:万円)
高齢夫婦無職世帯の収支

2.生きがい設計

もし、あなたが起業するとしたら理由は何でしょうか。生活費を稼ぐことだけでしょうか。実は、シニア起業をする大きなメリットは、お金だけでなく生きがいと健康的な生活を得られることです。起業することで、改めて自分の強みを生かし、世の中に貢献できるとしたらワクワクしませんか。これまでは、家族のために一生懸命働いてきたかもしれませんが、これからは自分自身のため、そして、社会に何らかの形で貢献することを目的に働くことができます。
シニア起業のカタチは様々です。現役時代と異なり年金もありますから、家族の生活を100%支える必要はありません。下記のSTEP1からSTEP4のどこを目指しても構いません。誰もが、事業を大きく拡大するSTEP4を目指す必要はありません。
シニア起業で一番大事なのは、「できること」「やりたいこと」だけでなく、「世の中から必要とされること」の接点を見つけることです。少子高齢化で働く人口が減っている現在、シニア起業は国や行政も応援しています。地元の都道府県や商工会議所、金融機関で、シニア起業セミナーやシニア起業塾が開かれています。起業する人をサポートするため、無料や低額でコンサルタントを派遣してくれる制度もあります。せっかく起業しても、無茶な経営で大切な老後の資金をなくしては元も子もありません。起業を考えたら、まずしっかり事業計画を立てることができるように、地元や周辺都市の起業支援策を活用しましょう。

起業のカタチ
起業のカタチ

3.健康生活

3つ目は、健康です。60歳時点での平均余命を加えると、平均で男性84歳、女性は89歳まで生きることになります。ただし、健康かどうかは別です。人の手を借りずに自立して過ごせる時間を健康寿命と言います。2016年の調査では、健康で自立する人生は、男性72歳、女性75歳となっています。
起業することで生きがいを持って元気に働くことができれば、健康寿命を伸ばす効果もあるでしょう。せっかく起業するのなら、日頃からウォーキングやストレッチなど手軽な運動を続けること、野菜やたんぱく質など食事の質にこだわること、暴飲暴食を慎むことなど毎日の健康に気をつけて、1日でも長く元気に働くことができるように努めましょう。

男女別平均寿命・60歳平均余命・健康寿命
男女別平均寿命・60歳平均余命・健康寿命

ご留意事項

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