社会課題解決を実現するために
多様な個性や価値観を持った
一人ひとりの力を最大限に活かせる
組織が不可欠です。
最初に三菱UFJ信託銀行のDEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)に対する方針や考え方について教えてください。
当社の目指す姿として、
「安心・豊かな社会を創り出す信託銀行」というスローガンを掲げて、サステナビリティ活動に取り組んでいますが、
目指す姿を達成するためにDEIは必要不可欠な要素と位置付けています。
社会課題にアンテナを張り、解決策を見出していくためには、同質性の高い組織ではなく、
多様な個性や価値観を持った一人ひとりの力を最大限に活かせる柔軟で変化に強い組織が必要です。
最近では、エクイティ、公平性、公正性の観点をより明確にしながら、
経営戦略としてDEIを推進しています。
DEIへの取り組みが、組織としての強さにつながり、三菱UFJ信託銀行が目指す姿の実現につながるということですね。では、どのようにDEIを推進されているでしょうか。
まず大きな骨子としては、3つの取り組みを推進しています。ひとつはジェンダーギャップの解消、それから、二つ目として両立支援、そして最後にDEIの浸透に不可欠な風土醸成、この3つを軸にDEIに取り組んでいます。
では最初にジェンダーギャップの解消への取り組みの具体策について教えてください。
具体的な施策としては、
役員メンタリングがあります。これは女性のマネジメント上位職層を対象に
役員がメンターとなって、メンタリングを行うプログラムです。
将来の女性管理職候補を対象に開催する
Women's Leadership Programなども用意しています。
また、女性登用を加速させるためにも、管理職の納得感を醸成し、職場での実践を支援するため、
主に部店長を対象としたダイバーシティ・マネジメントフォーラムをMUFG3社合同で開催しています。
参考ページ:
ジェンダーギャップの解消
ちなみに参加者の皆さんからは、どのような声が上がっていますか。
メンタリングを受ける前までは役員というと自分とは違う世界の人のようなイメージがあったのが、直接、メンターの役員と接することで、自分と同じように悩んだり、苦労したりしながら、今のポジションまで上り詰めたことがわかって、距離が縮まった感じがするというような感想をいただくことはありますね。
また、Women’s Leadership Programの参加者の話を聞いていると、最初から管理職や役員を目指したいという方は少数派ですが、メンタリングや研修に参加されたあとは、私にもできるかも、という感覚になったという人は多かったですね。
次に両立支援では、どのような施策を推進されていますか。
短時間勤務制度や時差勤務制度、在宅勤務制度、育児費用補助、介護休暇、介護休業などの
基本的な制度に加えて「配偶者海外転勤等同行休職制度」や「不妊治療休暇」など時代のニーズに合わせた制度を拡充しています。
また今年の4月から従業員の多様なワークライフバランスの向上をサポートすることを目的に
「家事代行サービス費用補助制度」もスタートしました。
家事代行サービスは、子育てや介護などのライフイベントとは関係なく、ひとり暮らしの方でも、
誰でも使える制度です。
参考ページ:
両立支援
こうしたジェンダーギャップ解消や両立支援の制度が活用されるためには、3つ目の「風土醸成」が不可欠な要素だと思います。「風土醸成」について現状の課題も踏まえて教えてください。
さまざまな制度を整えていても、上司や部署の考え方の違いによって、実際は利用しにくい制度になってしまうのでは意味がないですよね。
そのあたりは課題として捉えていまして、ジェンダーギャップ解消や両立支援の制度を利用する
当事者だけでなくその周囲の上司・部下・同僚にあたる一人ひとりがしっかり施策や制度の趣旨を理解し、社内に浸透することが必要だと思っています。
やはり壁になるのは、固定観念みたいなもので、アンコンシャス・バイアスと言われますが、例えば「子どもがいる女性社員は海外出張や長期出張には行けないよね」「育児休業って女性が取るものでしょ」というような先入観は排除し、特に管理職には、アンコンシャス・バイアスに留意したコミュニケーションが重要であるということを階層別研修やハンドブックを発行して伝えています。
参考ページ:
多様な人財が活躍できる企業風土の醸成
それを変えていくには、何が必要になりますか。
一人ひとりの踏み出す勇気、意識改革、行動変革だと思います。
例えば、女性だけでなく男性が真に育児に参画するには一定程度まとまった期間の休業が必要となりますから、そのことを当事者の男性だけでなく周囲の上司・同僚もしっかり理解し、適切なサポートをしていただくことが不可欠です。
また、管理職こそ早帰りを実現するなど、残業ありきでないカルチャーの醸成も大切です。風土醸成というと、管理職が意識すればよいものと思われがちですが、部下側からも自分の置
かれている状況や希望しているキャリア、プライベートについて、積極的に伝えてほしいと思います。
こうした、一人ひとりの行動を後押しすることで、DEIのカルチャーがより浸透していくものと考えています。
最後に、DEIの取り組みについて、今後の展望やどのような理想の姿を
イメージされているか教えてください。
制度や仕組みは、皆さんの声を聞きながら、これからもどんどん見直し、拡充していきます。使う人が増えれば増えるほど、より良いものになっていくと思うので、ぜひ沢山の人に参加、利用していただき、フィードバックをいただきたいですね。
そして何よりも大切なのは、一人ひとりの意識醸成。女性だから、キャリア採用だから、シニアだからとか、自分で自分の可能性を制限することなく、活躍できる社会が理想です。
まずは冒頭にお話ししたように多様な個性や価値観を持った一人ひとりの力を最大限に活かせる組織を実現していきたいと思います。