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相続対策を考え始めた方にまず知っていただきたい〜相続対策って必要?何をやっておくといいの?〜
相続対策を考え始めた方にまず知っていただきたい
〜相続対策って必要?何をやっておくといいの?〜
相続対策について考え始めた方の中には、自分にとって本当に必要なことなのか分からない、必要とは思いつつも具体的に何から考えればよいかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一言で相続対策と言っても相続税対策・相続を巡った争いのための対策・ご自身の希望を叶えるための対策などその目的は様々です。また、具体的にどんな対策をすればよいかについても相続のお悩みによって、エンディングノートで十分なのか、遺言を作成した方が良いのか、納税資金の準備が必要なのかなどご希望と状況によって変わってきます。
この記事では、相続対策について調べ始めた方に向けて、なぜ相続対策を考えておくとよいのか、具体的に何をすればよいのかについて、ご紹介します。
相続対策が必要な方とその理由
まず、どのような方が事前に相続対策をしておいた方がよいのでしょうか。
例えば以下のような方はエンディングノートや遺言作成など、何等かの相続対策が必要と言われています。
- 財産が多岐・多数にわたり、複数の不動産(海外にあるものを含む)、ネット金融機関との取引やゴルフ会員権など、本人以外の方が財産の全体像を把握するのが大変な方
- 家族(ご相続人)に高齢、或いは海外にお住まいの方がいらっしゃる方
- お子さまの中で同居の方と非同居の方がいる方
- 再婚されている方
- お子さまのいらっしゃらないご夫婦
- 個人事業主、会社オーナー
- 遺産から寄附をするお考えの方
- 相続税が多額になり相続する方が納税資金を用立てる必要のある方
次に何故、対策が必要なのでしょうか。一般的に言われている主な理由は以下です。
1:
相続手続きができない、時間や手間が通常以上にかかる可能性がある
相続手続きを行うためには、まず、相続人を確定させた上で、遺産(相続財産)の全体を正確に把握し、相続人全員で遺産をどう分けるかを決める(遺産分割協議)必要があります。そして、その結果を書面(遺産分割協議書)にする、或いは所定の書類(銀行の相続届等)に全員が署名捺印(実印)して手続を進めます。これらは限られた時間のなかで確実に進めていく必要があります。
最近はネット金融機関や、暗号資産(仮想通貨)、各種のポイントなど、ご本人以外では把握しにくい財産も増えていますし、不動産を複数お持ちの方などの場合、財産を把握するだけでも時間や手間がかかります。
更に、ご相続人の中に認知機能の低下した方がいらっしゃるときは、場合によっては成年後見人をたてる必要がありますし、外国籍や海外居住の方がいる場合は、相続手続きに通常以上の時間や手間がかかります。
財産が把握できても、相続人同士が普段あまり連絡を取り合っていない場合は、話し合いをするだけでも大変です。例えば、お子さまがいらっしゃらない場合、亡くなった方のご兄弟も法定相続人になりますし、前の配偶者との間にお子さまがいる場合はその方も法定相続人になります。
2:
遺産の分け方を巡って争いになる可能性がある
例えば、相続人がお子さま2人だけの場合であっても、一方が同居してお世話をしていたケースなどでは、2分の1ずつ(法定相続割合)では話し合いが纏まらない可能性があります。
3:
事業や会社の事業継続に支障がでる可能性がある
事業や会社経営は速やかに承継されることが重要ですが、相続手続きが進まないことで事業継続に支障がでる可能性があります。
4:
自らの意思を実現できない可能性がある
社会貢献のために遺産を寄付したい、母校に寄附したい、といったご希望がある場合は、確実に思いを実現するには遺言の作成などの対策が不可欠です。
5:
相続税を納税期限(原則10か月以内)までに払えない可能性がある
相続する財産のうち不動産の割合が高いなど、相続税の納付のために資金が必要な場合、必ずしも直ぐに手当て(不動産の売却など)できるとは限りません。そして、例えば配偶者に対する相続税額の軽減といった優遇を受けるためには、原則、納税期限までに相続税の申告をする必要がありますし、滞納や延納となると延滞税・加算税がかかります。
相続対策とは、万一、相続が発生したときに、相続人の方が困ることのないように、その不安を極力少なくしてあげることや、自分の考え通りに財産を承継させることを目的として生前に準備しておくことです。そして、その必要性はご事情や状況によって様々です。「うちはそんなに財産は多くないから」、「家族の仲はいいから」という理由で相続対策は不要である、という考えは残念ながらあてはまらないことが多いのです。
代表的な5つの相続対策
相続対策として、以下の5つが挙げられます。下の2つは相続税対策とも言えます。
なお、おすすめする相続対策の検討手順については、以下のリンクでご紹介しております。
「財産の把握」について
相続対策を検討するにあたり、まずはご自分の財産を整理して一覧化することをおすすめします。ネット金融機関との取引などは通帳や郵送物がないことも多いので、どこと取引しているのかとID等は家族が直ぐに見つけられるようにしておきます。簡易な方法としては、エンディングノートに記録しておくことが挙げられます。遺言を作成する場合には、遺言に添付する財産目録を活用するのも効果的です。
また、一覧化した財産は「つかう」「そなえる」「ふやす」「のこす」と分類しておくと次の「分け方」を考える際に役立ちます。
「分け方とその実現方法」について
遺産をどう分けるかを生前に決めておくことができます。相続人での話合いができない、或いは纏まらない可能性があるときはとても有効です。こう分けて欲しいという気持ちを手紙やエンディングノートに書いておくという方法もありますが、確実に実現してもらうためには法的に有効な遺言を作成しておくとよいでしょう。
遺言にはいくつかの種類がありますが代表的なのは公正証書遺言と自筆証書遺言です。どちらも形式要件が整っていれば有効ですが公正証書遺言は公証人や証人(2名)といった第3者の立ち合いのもとで作成しますので、あとから「作成したときは認知機能がなかった」、「誰かが強要して書かせた」といった争いになっても、有効となる可能性が高いと言えます。
なお、一部の財産について、遺言以外の方法で誰に渡すのか決めておくこともできます。例えば生命保険(死亡保険)に入って保険金受取人を特定の家族(相続人)を指定しておけば、生命保険金は相続財産に含まれないので話し合い(遺産分割協議)は不要となります。(但し、相続税計算上の財産には含まれますので、この点は留意は必要です。)
また、相続型信託も生命保険同様に遺産分割対象外の財産となります。
「手続きを行う人」について
葬儀が終わると、すぐに相続の手続きが始まります。期限がある手続きや確認しなければならない事項もあるため、早めにとりかかることが大切です。相続手続きは提出する書類が多く、大変面倒で時間もかかります。遺言がない場合は、相続人全員、或いは誰か代表者を決めてその人に委任する等して進めますが、前述のとおりなかなかスムーズに進まない可能性もあります。
相続手続きの流れ・内容を知る
相続手続きの進め方については、以下のリンクをご覧ください。
なお、遺言を作成していた場合は、遺言通りに相続手続きを行う人(遺言執行者)が必要となります。遺言で指定することもできますし、指定がない場合は家庭裁判所に申請して選任してもらいます。遺言執行者には相続人である家族や、作成にあたって相談した信託銀行や弁護士を指定することもできます。
「相続税の試算」について
相続税がいくらかかるのは、亡くなった時点での税制と財産、ご家族の状況によりますので正確な金額は分かりませんが、だいたいどの位になるか、こう分けたらそれぞれいくら位の税額になるのかは、税理士等に試算してもらうか、一定の前提をおけばご自分でもある程度は把握することができます。自宅(不動産)を渡す相続人が金融資産をあまりお持ちでない場合、納税するためにせっかくの自宅を急いで売らなければならない、といった問題が予測でき、分け方の変更(金融資産も渡す等)や、優遇措置の活用といった対策を検討できます。
相続税がいくらかかるのは、亡くなった時点での税制と財産、ご家族の状況によりますので正確な金額は分かりませんが、だいたいどの位になるか、こう分けたらそれぞれいくら位の税額になるのかは、税理士等に試算してもらうか、一定の前提をおけばご自分でもある程度は把握することができます。自宅(不動産)を渡す相続人が金融資産をあまりお持ちでない場合、納税するためにせっかくの自宅を急いで売らなければならない、といった問題が予測でき、分け方の変更(金融資産も渡す等)や、優遇措置の活用といった対策を検討できます。
相続税額のシミュレーション
以下のリンクをご活用ください。
「納税資金の確保」について
ご自分に相続が発生した場合、相続の開始から10ヶ月以内に相続人が相続税を納める必要があります。また、相続税は現金による一括納付が原則となっています。遺産(相続財産)がすべて預貯金・生命保険、株式などの金融資産であれば問題ありませんが、不動産などが含まれている場合は、相続税の納税資金を予め準備するなどの対策が必要です。
そのような場合は、保険の活用や、生前に財産を整理して納税用の資金を確保しておくといった対策も有効です。また、複数の不動産をお持ちの場合、相続発生後にどれを売るのか決めておき、売るための準備(測量や境界の確認、価格査定等)をしておくといったことも考えられます。不動産は、現金のように容易に分割することができず、相続人で共有になると、後々共有者の間で問題が生ずる可能性がありますので、事前に不動産を売却して現金化する、将来どのくらいで売れるのか、所有する不動産の現状を確認しておくとよいでしょう。
納税資金が不足している場合の対応策
シミュレーションの結果、納税資金の不足が予想されるときの3つの対応策を以下のリンクでご紹介しています。
相続対策についてお気軽にご相談ください
三菱UFJ信託銀行では、遺言に関する事前のご相談から、公正証書遺言の保管、遺言の執行までお引き受けすることが可能です。お気軽にご相談ください。